今回は、表題のシステム監査と製品監査について少し説明します。
先ずJIS Q 9100の要求に基づき、多くの企業はシステム監査を主体に実施されており、製品監査はあまり実施されていない状況にあります。しかし、最近の傾向として顧客から製品監査を要求される場合があります。

ところで以前も連載コラムで取り上げました自動車関連の品質マネジメントシステム(以下、QMSという)要求にIATF 16949「品質システムマネジメントの要求事項」というのがあります。
連載コラム:航空機と自動車の品質マネジメントシステムの要求の違い>>>

そこでは触れませんでしたが、このIATF 16949には、JIS Q 9100の要求事項よりも更に具体的な内部監査の要求があります。
IATF 16949の要求事項の項目は、
箇条9.2.2.1 内部監査プログラム
箇条9.2.2.2 品質マネジメントシステム監査
箇条9.2.2.3 製造工程監査
箇条9.2.2.4 製品監査
の4つの箇条に分かれています。

ここで、9.2.2.1と9.2.2.2の要求は、JIS Q 9100と大差ないですが、これに続けて、9.2.2.3~4で製造工程監査、製品監査を要求しているところが特徴となっています。
その2つの監査に関してその要求内容を見てみましょう。

ここで、製造工程監査では、コントロールプラン (自動車関係では製造工程を管理する基幹のドキュメントで航空機関係では製造/検査手順書に相当) 通り、製造や検査が行われているかということの適合性だけでなく、計画や目標が達成されているかという有効性や生産が効果的に行われているかという効率に重点を置く監査を行うことと更に、工程設計段階で品質作り込みの評価/改善の活動である工程リスク分析(PFMEA(*)など)などの運用実態も監査することが要求されています。

また、製品監査では、製品規格を満たしているかどうかを確認し、製品検査で行われる製品の機能や特性の他、通常の製品検査では行われない他の方法で検査の妥当性などについても確認することが要求されています。

JIS Q 9100には、製造工程監査、製品監査の要求は、明確にはありませんが、個別の製品を特定し、その品質が担保できる管理が実際にモノづくりの現場で実行できているかは、非常に大切な観点だと思われます。QMSが守られていても現場の製品品質が良くないでは、QMSの意味がありません。製品品質を通してQMSの有効性を見ることも大切です。

筆者が工場で品証スタッフを担当していたときに、当時ボーイング社の監査でシステム監査と更にバーティカルオーデイットという監査が実施されていました。この監査は、材料の受入検査から、加工、特殊工程、中間検査、最終検査などを順に確認して行く監査のやり方で、まさに製造工程監査、製品監査が実施されていました。

プロセス毎のシステム監査ばかりではなく、製品品質の観点から実際の作業を監査することも大切です。ここは、IATF 16949からの学びの一つではないでしょうか?

(ご参考)
(*) PFMEAは、2019年10月4日の連載コラム”航空機と自動車の品質マネジメントシステム要求の違い(第5回)”で解説しています。

文責 山本晴久