過去トラの最終回ですが、少し紹介したい話があります。一昨年、いくつかの企業様を訪問し、品質改善に関する支援をさせていただいたときの話です。

その企業様のご要望に基づきここで紹介しています過去トラを活用していただくことになりました。その企業様でご担当していただいた方は、少し前に別の企業から来られた方で、品質担当に就かれてまだそれほどの期間が経ってない方でした。

その方が過去トラを整理されることになり、過去の不適合、クレームを一気に学ばれることになりました。そしてその方の感想が、“この会社では過去に同じような不適合が何回となく発生し、そこが弱点だなと思いました。この会社では新人に近い私でも、長年いた方くらいに?またはそれ以上に?弱点が見えてきた”とのことでした。

これがまさに「組織の知識」と言われるもので、個人の暗黙知を、広く形式知にしたものだとその時、再確認いたしました。過去トラの効用は、この言葉に象徴されていると思った次第です。

さて、本題に戻り、今回は最終回として、過去トラ分析結果の活用について少し考えてみます。

①データの分析と報告:
一定期間に発生した不適合、納入後のクレームなど集計することにより、その工場での品質状況が分かります。時系列でまとめていくことで品質の傾向が良くなった、悪くなったなども一目でわかります。
また、このデータを品質会議などに上程し、重要な品質問題には、原因と是正に関する状況説明をします。筆者も品証担当時代には、この品質会議でよく報告していましたが、結構憂鬱な思いであったことを覚えています。

②再発防止:
過去トラの中に是正対策が書かれています。しかしその後も同じ不適合が発生していれば、是正対策が十分機能していないということが言えます。再発が防止できているかの評価ができます。

③内部監査:
上記と類似の話ですが、例えば過去トラからヒューマンエラーが多い時などに、ヒューマンエラー対策臨時内部監査など可能です。一般的に総花的にやる内部監査とは一味違う監査になります。

④教育
不適合の再発防止に作業者の教育などよく行われます。都度の教育も必要ですが、弱点を知ってそれにどう対処していくかなどの教育もまた効果的と考えられます。

これ以外にも、その会社のベーシックデータとしての活用方法も考えられます。
以前解説したFMEA(2019.10.4 航空機と自動車の品質保証の要求の違い 第5回 で少し解説しております。>>>)の中でも、その不適合がどの程度の頻度で発生するかを評価するところがありますが、過去の記憶だけでなく裏打ちできるデータがあれば正確に評価できます。

一度、Excelを立ち上げ、過去の2~3年のデータを打ちこんでいただけますか?案外、先に言った品質会議のデータなどがあれば、そのままカットアンドペーストでデータも作れるかもしれません。考えるより、行動ですね。

以上、過去トラについて3回に亘り掲載いたしました。

文責  山本