メールマガジンを始めて、早いもので約1年が経過しました。主として品質向上/改善につながるようなテーマを選んで掲載してきました。今後もその路線を続けるつもりです。読者の皆様の少しでもご参考になれば幸甚です。

ところで航空機の品質保証の講演などをするとき、そもそも品質保証とは何を意味しているか?プロセスアプローチとは?どんな経緯で生まれてきたか?というような話をさせていただきます。今回から何回かに亘り品質向上/改善から少し離れたところで、思いつくままのテーマで何回かに分けて話をさせていただきたいと考えています。

今回は、JIS Q 9100の生まれてきた経緯です。筆者が三菱重工名古屋航空機製作所に配属された(1975年でした)更に以前から始まります。
そもそも航空機の品質管理(今でこそ品質マネジメントと言っていますが、最初は品質管理から始まっています)要求の源は米軍にあり、第2次世界大戦後にMIL STD 5923C(1959年)、更にその後、品質保証の要求としてMIL STD 9858A(1963年)が制定されました。これを受けて防衛庁(今は防衛省)では、陸海空で別々に品質保証共通仕様書が作られていました。

しかし、陸海空で異なるのは、防衛製品の調達に好ましくないとして、3つの自衛隊(三幕)共通の要求に統一されました。それをDSP Z 9001(品質保証共通仕様書)と名付けました。1983年のことです。実は、筆者もこの時に解説書を作る仕事の一部を担当させていただきました。今にして思えば懐かしい思い出です。

一方、防衛製品の調達とは別に一般製品でISOの品質保証の要求を統一化する動きが生まれます。EC統合を機にISO 9000シリーズの出現です。ISO 9001の認証を各社が競って取得される現象が起きました。1990年台後半の話です。読者の方の記憶にも刻まれていると思います。

さらにその後、ISO 9001は、航空宇宙防衛関連の固有の要求が不足しているということから、IAQG(国際航空宇宙品質グループ)で各地域/国で共通の番号である”9100“を持つJIS Q 9100(品質マネジメントシステム)などが制定されました。ヨーロッパではEN 9100、アメリカではAS 9100という番号になりました。内容は、それぞれ全く同じです。本来、ISO 9100となれば国際規格としてより明確な体系になりますが、そのレベルまでは調整がつかなかったようです。

因みに、最初に防衛分野で始まったと言いましたが、現在はDSP Z 9008B(品質管理等共通仕様書)が適用されており、内容は、JIS Q 9100に防衛関係の特別要求を追加したものになっています。
以上がJIS Q 9100制定の経緯です。

今日の要求事項になるまでには、実に70年近い年月がかかっています。
最初の品質管理から今の品質マネジメントに変革してきたわけです。先人たちの苦労の結晶でもあると思います。規格を学ぶとき、彼らの想いを想像しながら読み解くのも興味のあるところです。

今回は、規格そのものの変遷を追いかけましたが、もちろん内容が時代と共に変化してきています。
次回は、品質管理から品質マネジメントへの変遷についてお話しします。

文責  山本