不正防止活動(SJAC9068) 第1回
前回は,関連部門は顧客から直接収集したありのままの顧客満足情報を,トップマネジメントへ継続的に提供することの重要性について記載しました。
顧客満足について>>>
今回は,収集した顧客情報の評価・改善活動及び有効活用方法について紹介します。
JIS Q 9100の箇条9.1.2の追加要求事項として「・・・。組織は,これらの評価によって特定された課題に対して,顧客満足の改善計画を作成し,実施しなければならない。また,組織は,その結果の有効性を評価しなければならない」
企業様におかれましては,収集した顧客満足情報に基づき分析・評価し,特定された課題に対する改善活動を実施し,その有効性を評価することが求められています。
折角収集した重要な顧客満足情報に対する失敗事例を次に記載します。ある中小企業様A社において,顧客から定期的な顧客満足評価情報が提供される仕組みがないため,A社でアンケートを作成して,主要顧客にアンケートの協力を依頼されました。
その結果,売上げの多い顧客D社からA社に対して品質,納期,価格の協力度に対する評価点は良かったのですが,5項目の具体的な改善要請のコメントがありました。
アンケート調査を実施して,4か月を経過後に認証機関のサーベイランスが実施され,審査員がD社の改善要請があった事項に対するA社での改善状況を確認されました。ところが,改善要請があった事項に対しA社では営業部門が社内展開をしておらず,改善検討も行われておりませんでした。当然,D社に対しても何にも回答されていないことが判明して,認証機関から厳しい指摘を受けました。
A社は,顧客情報の収集だけは実施していましたが,これに基づき社内で評価し,特定した課題に対する改善活動が全く行われておりませんでした。このことは,改善計画も策定されていないので,有効性の評価以前の重大な問題です。また,顧客D社はアンケートに協力しましたが,何のアクション報告もされていないので,D社のA社への信頼も大きく失墜することになります。
このような状況では,今後A社はD社へ一切アンケートの協力依頼はできないものと思われます。A社において、何故このような顧客満足の軽視の事態が発生したのか,その要因(内部コミュニケーション等含む)の調査及び再発防止策を真摯に検討し,顧客満足の重要性について再認識する必要があるかと考えます。
文責 松田一二三
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