特殊工程管理について 第2回
今回は、特殊工程が大切な理由について考察してみたいと思います。
特殊工程とは、溶接、表面処理、塗装、非破壊検査など通常の製品検査だけでは、当該製品の品質を保証することが困難な製造工程、及び品質を保証するために有効な確認をする必要がある特定の検査工程をいいます。
即ち、例えば、塗装品質では、母材へ密着度を評価するためには、剥離試験を実施すればよいのでしょうが、製品でその試験を行うと塗装を損傷することにもなりかねません。
品質を押さえ込むために、塗装の材料そのものの品質、密着性を良くするための下地処理、塗装の手順、乾燥の手順、テストピースでの剥離試験など、密着度に影響すると考えられる要素を工程で押さえ込むことが必要になります。
要は、工程を徹底管理しないと品質が守れず、かつその工程の品質が生産品で簡単に評価できないため重要な工程として特別に管理されるものです。
また、溶接部の非破壊検査の場合でも、内部の欠陥は、通常は破断して観察すればできますが、それでは製品を破壊することになるので、特殊な装置(放射線、超音波)を用いて内部の欠陥を検出します。そのためには、欠陥の評価基準をあらかじめ明確にするとともに検査員のスキルで結果が変わることにもなるので、検査員の資格をあらかじめ決めて、人の管理もしなければなりません。
特殊工程では、4M(Man Machine Material Method)の管理が必要と言われるのはこのように、人、設備、材料、工程が品質に大きくかかわるからと言えます。
また、特殊工程のもう一つの面は、製品の致命的な品質に関わる特性であるということが言えます。
例えば溶接では、もし内部に大きな欠陥があると、強度不足となり、製品の破壊につながりかねません。筆者も、宇宙機器の開発で製品検査を担当していた時期がありますが、ロケットエンジンの開発当時、種々問題が起こりましたが、特殊工程に関わるものが非常に多かった記憶があります。
以前、メルマガでPFMEAに関する解説をいたしました。(第14回メルマガ)
PFMEAでは、工程のリスクの大きさを
① 発生頻度(その問題がよく起こるのか?めったに起こらないのか?)
② 影響度(その特性に不適合があった時の製品への影響)
③ 検出性(検査でその特性の異常の発見しやすさ)
の3つの観点から評価しますが、特殊工程は、一般的には「②:欠陥があったら致命的」と「③:特殊工程は、そもそも検査で品質を保証するのが困難」でリスクポイントが高くなります。それだけ重要な工程であると言えるわけです。
航空機と自動車の品質マネジメントシステムの要求の違い (第5回)を読む>>>>
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以上、特殊工程の大切さを解説いたしました。次回は、特殊工程の種類などもう少し掘り下げて説明したいと思います。
文責 山本 晴久
「続き(第3回)を読む」
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