SJAC9068Bに基づく不正防止活動の具体例ご紹介
「SJAC 9068Bに基づく不正防止活動セミナー」のセミナーを受講いただきまして、誠にありがとうございました。
ご参加いただきました受講者からのご質問を、皆様のご参考になるかと思いますので一部ご紹介させていただきます。
■ご質問内容:
不正防止意識の啓発活動で説明して頂いたアセスメント活動は、自部門の業務プロセスに潜む不正リスクを低減するためにともて重要な活動だと考えています。これをいかに一時的な活動とせずに、継続的に各部門で実施されるようQMSの仕組みにどのように組み込むか悩んでいます。何か具体例がございましたら、セミナー等でご紹介頂けたらと思います。
■ご質問へのご回答:
1.下記2つの留意点を踏まえまして、アセスメント活動の継続的な実施について、一例をご回答致します。
①アセスメント活動の確認項目及び評価対象はセミナーにてご紹介した通りですが、継続的に実施する場合にこれらの項目を総括的に行うことは、効果的ではないと考えます。
②また、不正防止活動として行うアセスメント活動は、その主旨からもホワイトな部門に行っても有効とは言えず、むしろ、部員の士気低下や活動に割く時間が既存の業務プロセスに対して悪影響を及ぼしかねません。
2.事例のご紹介
①アセスメントの対象区分作り
コミュニケーション、教育訓練、生産能力、標準の遵守、記録の管理、組織体制、スタンプ管理などの区分に分けることができます。(説明資料アセスメント活動1/4~4/4参照)
特に自社の現場で起こりうるコンプライアンス違反を想定し、自社なりの重点チェック項目を整備することも大切です。
②アセスメントの実施者
先ずは、自部門でコンプライアンスの遵守状況をチェックするため、当該管理/監督者が実施、評価する。
③アセスメントの実施
チェック項目は①で準備したものを使うと共に、ヒアリングなど下記の観点から実施する。
「動機・圧力」:スケジュールを急がせるなどの指示を受けたことはないか?
「機会」:改ざん等が容易にできる環境にないか?
「正当化」:改ざん等を正当化しない規律が保たれているか?
④実施形態と頻度
定期的に実施するとして毎回1つのテーマに絞って行い、重点思考で以降のテーマ・頻度を決定する。
・第一ラウンドとして①項で決めたテーマを順に毎月実施(7テーマで7か月)
・第二ラウンド以降は頻度を下げる(間隔をあける)など検討する。また、7テーマを単純に繰り返すのでなく、問題の在りそうなテーマに絞り込む。
⑤不正リスク監視体制の構築
上記第二ラウンド以降、監査室などが1年間ないしは半年間の間隔で、各部門の操業状況、労働時間などいった指標を監視し、値が高い部門を対象にアセスメント活動の実施を促す。但し、この場合、既にリソースが不足しているなどといった状況が考えられるため、実施に際しては相応のサポートを考慮する。
⑥アセスメント結果の活用
・実施レポートを部門長に上程し、必要な判断、処置を仰ぐ。(内部監査でチェック)
・内部監査の際には、このレポートを提示することで活動実施のエビデンスとする。
・アセスメント活動データをマネジメントレビューのインプットとしてトップへ報告し、トップダウンによる改善指示に用いる。(この時、トップは“まず”製品品質が重要であること、つまり納期より優先すべきこととして、伝達する。)
以上ですが、ご参考になりましたでしょうか?
文責 松田一二三
・不正防止活動について
・SJAC9068とは?(その1)
・SJAC9068とは?(その2)
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