QMS関連の管理要求について 第2回 ~IAQGの刊行物を知ろう!2~
前回に引き続きIAQGの規格をSJACに置き換えているもののうち、主要な管理要求を紹介いたします。
(6)SJAC 9134:サプライチェーンリスクマネジメントガイドライン (前回から連続の付番)
→この規格は,サプライチェーンにおける供給者関連のリスク(品質要求に合致した製品を納入する能力、2次サプライヤを管理する能力、人的資源、財務などのリスク)と製品関連のリスク(設備、プロセス管理能力、人的能力、管理システムなどのリスク)に分けてリスク特定ツール、リスク低減管理ツールを紹介しています。多数の供給者を使う大きな規模の企業でのリスクマネジメントを想定しています。
(7)SJAC9136:航空宇宙-根本原因分析及び問題解決(9S方法論)
→この規格は,流出及び問題の影響を少なくし、上流で封じ込め、再発を防止するためにすべての関係者(技術、製造、生産技術、供給者、顧客)の間のコミュニケーションを含めた不適合流出及び問題の管理方法を改善する方法論に関して提案しています。
9つのSとは、封じ込め処理、チーム編成、問題明確化、封じ込め処理の完了、原因特定、恒久的是正処置の明確化、同実行と有効性確認、標準化、チーム解散の各ステップがあります。筆者メルマガの2019.7.19 “納入後のクレーム「客様への対応と報告」(第3回)”で8D分析の話をしましたが、この9S方法論と類似のものと言えます。
(8)SJAC9138:航空宇宙-品質マネジメントシステム 統計的製品合否判定に関する要求事項
→この規定は、ARP9013を改良したもので、検査費用を削減し、なおかつ受け入れ可能な品質を保証するために製品の合否判定を統計的に行う方法に適用できる一般的な要求事項を定めています。
個々のロットによる製品合否判定に関する要求事項、工程管理の下で生産された製品の合否判定に関する要求事項、連続抜き取り検査の方法に基づく製品の合否判定に関する追加要求事項などが規定されています。
(9)SJAC9145:航空宇宙-先行製品計画及び生産部品承認プロセスに関する要求事項
→この規格は,航空,宇宙及び防衛分野の先行製品品質計画(APQP)及び生産部品承認プロセス(PPAP)に関するプロセス要求事項を規定しています。筆者メルマガの2019.9.20“航空機と自動車の品質マネジメントシステムの要求の違い(第3回)”でAPQPを、そして2019.9.27の”同テーマ(第4回)“でPPAPのことを少し触れています。
ご参照していただければ幸いです。
(10)SJAC9146:異物損傷防止(FOD)防止プログラム-航空、宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項
→この規格は,契約上のFOD 防止プログラムの要求事項として、プログラム管理、運用、エリアの指定、教育訓練、製品保護、ハウスキーピング、物に対する説明責任、治工具に対する説明責任などの要求を規定しています。
(11)SJAC9162A:航空宇宙-作業者による自主確認プログラム
→この規格は、航空、宇宙及び防衛産業の作業者による自主確認実施事項を可能な範囲で標準化し、品質及び安全性の改善、コスト削減などを図るものであります。作業者による自主確認に適したプロセス、自主確認プログラムの測定/監視/マネジメント及び継続的改善の実施計画、作業者の訓練、パフォーマンスの評価などを規定しています。
以上、前回との2回に亘り SJAC91XXシリーズの主要なもののエッセンスを示しました。どちらかといえば、海外OEMの下で契約している国内の重工メーカに要求されるようなレベルのものが多いですが、参考になれば幸いです。
文責 山本晴久
「続き(第3回)を読む」
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