前回のつづきで、今回は先ず団体レベル(業界)の公共スペックについてお話ししたいと思います。
航空宇宙関連製品で呼び出される主要な公共スペックには、団体レベルのスペックが数多くあります。以下、主要な団体のスペック概要とそのスペックのほんの一例を参考として挙げておきます。

①SAE :Society of Automotive Engineers 米国自動車技術者協会
この米国の団体であるSAEが発行しているものとしてAMS(Aerospace Material Specification)、AS(Aerospace Standards) そしてARP(Aerospace Recommended Practice)などがあります。Automotiveで自動車と訳されていますが、乗り物というのが語源であり、航空宇宙関連スペックも制定されています。
・AMSは、本来は航空機用材料スペックですが、材料処理スペックなども規定したもので、
一例としては、
AMS2430(ショットピーニング)、
AMS2418(銅メッキ)、
AMS2750(パイロメトリー)、
AMS-H-6088(アルミニウム合金の熱処理)などがあります。
・ASは、設計基準、部品基準、性能基準及び品質に関わる特別な要求事項を規定したもので、
一例としては、
AS478(マーキング方法)、AS9117(出荷検証の移譲)、
AS13003(計測システム解析)などがあります。
・ARPでは、作業、手順、技術に関する標準作業のガイダンスとして規定したもので、
一例としては、
ARP4992(処理液の分析)、
ARP4252(表面クリーリネス評価)などがあります。

②ASTM:American Society for Testing and Materials 米国材料試験協会
鋼(はがね)の規格を制定したことが始まりで、主として工業用材料規格と試験法規格を定めています。
一例としては、
ASTM E1417(浸透探傷検査)、
ASTM E18(ロックウェル硬度試験)、
ASTM E8(金属材料の引張試験)、
ASTM B660(アルミニウムとマグネシウム製品の梱包)などの要求があります。

③NAS:National Aerospace Standard 米国航空宇宙規格
航空工業会(AIA)の航空宇宙企画委員会が策定する航空機やロケットなどの製造に関する各種の規格です。
一例として NAS410(非破壊試験要員の認定)などがあります。

④ASME:American Society of Mechanical Engineers 米国機械学会
米国の機械学会のスペックです。筆者が航空宇宙の仕事に就いたころには、他の事業所の製品である原子力機器関連などでは、このASMEの話を聞くこともありました。
航空機関連で使われるスペックの一例として、ASME Y14.5(寸法及び公差記入法)などの要求があります。

⑤MIL:Military Standards 米国国防総省
米国国防総省が制定した調達規格で様々な品目に対して標準規格が規定されています。高/低温環境、防塵性と防水性など過酷な環境での使用を想定しています。
航空関連では、MILスペックは別の公共スペックに置き換えられたものも多いですが、今でも使われているものの一例としては、MIL-DTL-5541(アルミニュウム合金の化成皮膜処理)、MIL-STD-867(エッチング検査)などがあります。

最後に、団体レベル(企業)ですが、ごく代表的なところの名称のみ例示しますと
・海外機体メーカの例としてボーイング社はBACシリーズ
・海外エンジンメーカの例として、ロールスロイス社RPSシリーズ、プラットアンドホイットニー社はPWAシリーズ、GE社はP、S、Cシリーズなど
・国内重工のMHI社はP/VPシリーズ、IHI社はISAJTシリーズ、KHI社はKPSシリーズ等となっています。

以上公共スペックと代表企業のスペックについてお話ししました。公共スペックでは、航空先進国である米国発のものが大変多いことがよく分かります。複雑なところもありますが要求を細部に亘り読み込むことが大切です。

文責 山本 晴久

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