前シリーズでは「契約要求事項の理解」というテーマで主として図面から呼び出されるプロセススペック、材料スペックなどについて解説してきましたが、今回からは、QMS(品質マネジメントシステム)に関連する管理要求について解説したいと思います。

前々回のメルマガでSAE(米国自動車技術者協会)の下部の団体が発行しているAMS、AS、ARPなどのスペックを紹介しましたが、SAEの傘下にIAQG(International Aerospace Quality Group:国際航空宇宙品質グループ)という国際非営利団体があります。
IAQGは、航空宇宙防衛産業界の主要な企業で構成され、そのサプライチェーンにおける品質にかかわる管理基準/要求などを設定しています。9100規格(日本ではJIS Q 9100)もこのIAQGが制定したものです。因みに、日本国内のレベルではJAQGが航空宇宙工業会(SJAC)のもとにあります。

IAQGが制定したスペックには採番のルールがあり、国際規格は「91」で始まる4桁の数字で、国の規格は「90」で始まる4桁の数字で表し、その前に規格を発行する組織の頭文字を付けています。
日本規格協会が発行する規格は「JIS Q XXXX」となり、またSJACが発行する規格は、「SJAC XXXX」となります。

このIAQGが発行し、SJACがその翻訳版をSJAC91XXとして発行している「91」シリーズの管理要求を主体に先ず紹介します。また、SJAC90XXについても次回に一部紹介します。

(1) SJAC9101F:品質マネジメントシステム-航空、宇宙及び防止分野の組織に対する審査要求事項
→この規格は、審査プロセスに対する準備とその実施に係わる要求事項を規定しています。また,9100 シリーズ規格,組織の品質マネジメントシステム文書などに対する適合性とプロセスの有効性についての審査報告書の内容と構成などについて規定しています。第三者審査機関が行う初回認証時の第一次審査、第二次審査、認証取得後のサーベイランス審査、更新審査などもこの中で規定されています。審査機関への要求事項ということができます。

(2) SJAC9102B:航空宇宙初回製品検査要求事項
→初回製品検査(FAI)でよく耳にする管理要求かと思います。FAIの部品要求、計画の作成、不適合時の処理、評価、文書化などを定めたもので、様式-1(部品番号証明書)、様式-2(製品証明書-材料,特殊工程及び機能試験)、様式-3(特性証明、検証及び適合性評価書)の作成要領などが規定されています。

(3)SJAC9103A:航空宇宙キー特性管理
→この規格は、キー特性のばらつき管理のための要求事項とこの要求を達成するためのプロセスを規定しています。具体的には、工程の把握、キー特性の決め方、工程管理と工程能力の調査、工程管理の文書などが規定されています。

(4) SJAC9110B:品質マネジメントシステム-航空分野の整備組織に関する要求事項
→この規格は、航空分野の製品に対して,保守(整備)又は継続的な耐空性管理サービスを提供する企業に対する品質マネジメントシステムの要求事項を規定したものです。製品開発、製造、販売する企業がJIS Q 9100が適用されることに対して、いわゆるオーバーホールを行う企業への要求と考えていただければいいです。AS/EN9110などを補足するものとして位置づけられています。

(5) SJAC9120A:品質マネジメントシステム-航空、宇宙及び防衛分野の販売組織に関する要求事項
→この規格は、部品,材料及び組立品を調達し,これらの製品を航空,宇宙及び防衛分野の顧客に販売する企業に対する品質マネジメントシステムの要求事項を規定したものです。商社などの業務形態に、この要求事項が適用されます。AS/EN9120などを補足するものとして位置づけられています。

次回も、SJACの管理要求の解説を続けます。お楽しみに!

文責 山本 晴久

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