契約時に顧客の承認を受けるものとしては、一般的には、自社の品質保証システムの承認と更にスペックで要求される場合には、特殊工程など作業工程毎の承認を取らなければなりません。

先ず、品質保証システムの承認ですが、顧客独自の品質保証システム要求事項があるのが一般的で、その中でJISQ9100の第三者機関による認証を取得することと更に顧客が定める品質保証システムの認証取得を要求されます。

これに関しては、前々回(2012.3.1)にも取り上げていますので、本稿では特殊工程の認証取得に関して少し解説します。

具体的な例で示した方が分かりやすいと思いますので、ここでは特殊工程の代表格ともいえる熱処理を取り上げます。
対象スペックは、顧客スペックは一般公開されていないので公共スペックで要求を紐解いてみたいと思います。

熱処理に関する公共スペックの一般的なものとしてAMS2759 “Heat Treatment, Martensitic Corrosion-Resistant Steel Parts”があります。鋼材の熱処理です。このスペックをPrimary Spec(第1次スペック)として、ここから更にSecondary Spec(第2次スペック)が呼び出されます。

Secondary Specとして具体的には、
・先ず、熱処理炉への設備要求 “AMS2750 :パイロメトリー(高温測定という意味です)”があります。
熱処理は、材料/部品を一定の温度に昇温して一定の時間保持する必要があります。容積の大きい炉の中で、部品を置いた位置で昇温レベルに大きなばらつきがあっては困ります。温度の一様性の評価が必要ですし、センサー及び計測器の校正なども必要になります。
更にそこから”ASTM:熱電対の校正”が呼び出されます。(第3次のスペックになります)

・また、熱処理を施した材料/部品に対して金属特性の試験が必要になりますが、その試験方法として、引張試験の要求”ASTM E8:金属材料引張試験の方法”で引張強度の確認、硬さ試験の要求”ASTM E10:ブリンネル硬度試験/E18:ロックウェル硬度試験”で硬度の確認をします。試験機の仕様、試験方法、設備管理などの要求が規定されていますのでそれに従います。

・また、熱処理作業の従事者に関する要求”ARP1962:熱処理担当者の認証“があります。具体的には、熱処理従事者(監督者、作業者、検査員、熱処理プランナーなど)に対して、座学(熱処理に関する知識教育:作業毎に2時間程度)とOJT(材料、工程、作業毎:6カ月1年)を行い、更に評価試験などの規定があります。

このように熱処理という工程に関しては、基本スペックのAMS2750を読み込めば、判りますが、確実な作業をするためには、特殊工程では特に大切な4M(設備、人、手順、材料)の管理に関する要求がSecondary Spec以下に規定されることが判っていただけたかと思います。

これらの関係をスペックツリーのような形で整理すると関連がよく理解できます。
一例を下記に示します。


上記は、公共規格での一例ですが、契約によっては顧客の特殊工程のスペックがPrimary Specであることも多いかと思います。その際も上記のようなツリーを書くことで適用スペックの位置づけを明確にすると共に抜けなく検討できます。参考にしていただければ幸いです。

追伸
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文責 山本 晴久