一般的に航空・宇宙機器の製造においては、顧客図面から直接呼び出されるスペックは、そこから更に呼び出される多くのスペックが存在し、ツリー状に連なって要求されています。これは、図面から直接呼び出されるプロセススペックでは、網羅しきれない要求事項(材料、設備、人、手順、試験など)が追加要求として必要になるためです。該当するものをすべて洗い出し、適用しなければなりません。

前号で公共スペックの例で紹介いたしましたが、1次スペックから2次、3次と下位へいくにつれて数が増え、その管理が非常に難しくなってきますので運用する側もこれらのスペックの検討をタイムリーに適切に行うことが大切です。

現にNadcapや顧客の審査においても、顧客要求のフローダウンに関する事項は、不適合の上位にあがっており、場合によっては、製品に大きなインパクトを与える重大不適合を引き起こしてしまうケースも少なくありません。
従って、これらを適切に行うためには仕組みづくりからきちんとした体制を構築し、次の事項をポイントとして顧客要求のフローダウンを行うことが大切です。

1.スペックを検討するための組織、担当の明確化
→部品サプライヤーの場合は、設計部門がありませんので、一般的には、生産技術部門で担当することになると考えられます。また、品質保証部門があれば、検査に関わるところを担当するとか、生産技術部門の作成したものをレビューすることなども有効です。担当者任せにしないことも大切です。

2.スペックツリーを作成し、技術要求の範囲の明確化
→1次、2次、3次と検討していきますが、延々と行うことではなく、生産する製品に関係のないところまでは進めなければなりません。また、読み方もあります。材料を購入する場合で材料を作るためのスペックが呼び出された場合には、例えば、品質要求などの項目に注目して読みます。製造工程を自社がやるわけではないのでそこを詳しく読まなくてもいい訳です。

3.不明事項の顧客へ確実な問い合わせ
→スペックを読み込む中で必ず不明な事項が出てくるものです。その際には、単に口頭で確認ということでなく、可能なら技術連絡書のような正式なやり取りで(しかるべき組織の承認の記録が残るところがよい)、少なくともメールなどで記録を残すようにします。

4.検討表などで要求事項の遵守可否の検討
→技術要求事項をすべてリストアップし、材料、設備、人、手順などの面でスペック要求を満足できるかを確認します。記録に残しておくことでその後の変更などがあった場合にもこの表をメンテナンスしていくことで履歴管理も可能となります。

5.スペック逸脱の場合の顧客へのデビエーション申請の提出
→自社の設備能力などが不足していて要求通りの処理条件で作業できない場合などは、客先へのデビエーション(逸脱)申請を行います。その際、何故逸脱しても品質に影響がないと考えたかの根拠を示すようにします。

6.変更時の都度の確認
→1~5項は、契約の開始直後に行いますが、継続生産の場合には、スペックそのものに改定がなされる場合も多く、改訂箇所の検討も非常に重要になります。迅速な検討が求められます。

昨今、多くの企業様が品質問題にお悩みがあり、弊社も様々な形でご支援させて頂いておりますが、顧客要求のフローダウンが適切に行われない事例に出会うことがよくあります。
一度上記のポイントから自社のフローダウンの仕方を見直すこともよいのではないでしょうか?

文責 山本 晴久

当社では、NadcapやJISQ9100について詳しいコンサルが在籍しております。

何かお困りごとがございましたらお気軽にご連絡頂ければと思います。
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