前回は、取引基本契約書の解説をしました。その中で取引条件は、個別契約で定めると説明致しました。一般的な用語として個別契約書と言いましたが、発注品目、数量、単価、納期などの詳細を発注仕様書及び/又は注文書で規定するケースも多いかと思います。

4.注文書 (前回からの連番で4項としています)
今回、このテーマで一般的に書くのは、少し無理があると感じていますので、筆者の経験したところから注文書の例を取り上げ、少し解説したいと思います。
注文書の内容では、オーダー番号、品目/仕様、納入場所、数量、単価、トータル金額などが規定されますが、更に、下記のような品質に関わる詳細の要求が明記されます。甲は顧客で、乙は自社としています。

①品質管理仕様書の
適用要求:
甲は、JIS Q 9100に追加して要求する事項を明確化するために、甲の固有の品質管理仕様書を呼び出します。具体的な追加要求の例として、源泉検査、特殊工程管理、変更管理、支給品及び貸与品の管理、初回製品検査(FAI)、抜取検査、不適合品の管理、ソフトウエアの管理などJIS Q 9100では規定できないところに絞ってその会社に固有の追加要求を規定します。また、変更管理、特殊工程管理、不適合処理などの管理に使用する様式(フォーマット)もここで規定されます。
②特約条項: ①項は、全般に亘る要求ですが、契約対象機種に特別要求がある場合には、その機種だけに限った要求を規定します。例えば、部品のクリティカル品目の管理規定などがあれば、この特約条項とします。
③源泉検査の有無: 重要品目では、納入する前に甲の検査員が乙の工場に出向き検査をします。これを実施することで甲の受入検査が軽減されますが、源泉検査の合格は甲の受領を意味するものではありません。
④FAIの要否: FAI対象品目か否かの指示をします。乙は、甲が定めた規定に従ってFAIを実施し、その記録を定められた様式(一般的にはSJAC9102相当のもの)に従ってFAIレポート(FAIRと言う)を作成し提出します。
⑤納入時の提出書類: 通常は、検査/試験成績書、合格書(COC)、該当があればMSDS(Material Safety Data Sheet:製品安全データシートで、製品に含まれている指定化学物質やそれを含む製品の危険有害性や取り扱い上の注意等の情報を記載したもの)などを要求します。
⑥指定メーカ: 規格品などで製造元が複数ある場合、品質・コスト・納期などの都合でメーカを指定する場合があります。その際に指定メーカを記載します。

 
以上が注文書の一例です。特に①項の品質管理仕様書では、契約相手企業毎に要求事項が異なり、自社内においても、JIS Q 9100に基づく品質マニュアル、各種細部規定にこれらの要求事項を盛り込んでおく必要があります。一般的には契約相手方企業は複数社あれば、それらを包含した品質マネジメントシステムを構築する必要があります。その他の追加項目に関しては、その都度、要求事項を確認しこれを遵守することが大切です。 
また、契約開始に当たっては、契約要求事項が順守できるか否かのレビューも大切になります。

文責 山本 晴久