前回は、契約要求事項を客先から受領した際に自社で実施すべき検討事項などについてJIS Q 9100で何が要求されているかを見てみました。今回は、一般的に契約に進む段階でどのような要求がなされるかの概略を何回かに分けて順を追って見てみたいと思います。

契約元(顧客)がサプライヤーを新規取引先として認めていく際には、取引する相手企業としてふさわしいか否かをサプライヤー能力調査により評価します。今回は、この説明から始めます。サプライヤーの立場で書かせていただいています。

1.サプライヤー能力調査
顧客は、下記の観点から能力が備わっているかどうかを評価します。顧客の調査したい事項がチェックシート化されているので質問ごとに回答を記入し、顧客から監査(調査)を受けるのが一般的です。契約上の要求事項そのものではないですが、先々の契約では、このチェックシートの要求レベルが求められるということを学ぶことになります。基本的には4つの観点から評価されます。

①品質保証能力:
いわゆる品質マネジメントシステムが構築されているか? JIS Q 9100の認証を取得していれば、大きな問題はないはずです。顧客の要求にもよりますが、JIS Q 9100認証取得を条件にしていることも多いので、そこは明確にしておく必要があります。認証を受けようとすると通常は、1年程度かかります。

②製造能力(Capability):
顧客が発注する製品の技術要求を満足する設備能力、その能力を発揮するための生産技術力、それを使いこなす作業者/検査員の能力などが評価されます。中には、サンプル品の製造を通じて評価される場合もあります。

③生産能力(Capacity):
製品の納期を守るためには、その生産量に見合った設備能力が必要です。その顧客製品を製造する生産設備能力、設備保有台数などから納入数に見合った生産が継続的に安定して行えるかが評価されます。また、外部に委託する作業がある場合は、外部企業の能力を自社が把握できているかなどの観点からも評価をされる場合があります。いわゆる生産管理の全体の能力が問われます。

④最新財務情報:
最新(通常過去3年程度)の財務管理能力と業績データなどを求められることがあります。その際は、いわゆる決算書を提出することになります。これは、この後に繋がる取引口座開設の際の与信調査で求められるものでもあります。

以上が評価のポイントですが、経済産業省では、平成29年3月 中小企業が航空機産業に参入するサプライヤーに求められる体制を実務に即して解説した「航空機部品産業における生産管理・品質保証ガイドブック」が公表されています。
→→→ 航空機部品産業における 生産管理・品質保証ガイドブック (日本航空宇宙工業会)PDF

また、それを受けて、令和2年2月に中国経済産業局 地域経済部が発行した上記の手引きは、関連企業のヒアリング結果などを踏まえて解説されているので参考になります。
→→→ 航空機部品産業における生産管理・品質保証ガイドブック (中国経済産業局)PDF

時間のある時に見ていただければ幸いです。

次回は、秘密保持契約について説明します。

文責 山本 晴久