“なぜなぜ分析”は、けっこう難しい! 第5回
前回は、三現主義で現場での聞き込みなどを行いましたが、今回はそれをもとにしたなぜなぜ分析をやってみましょう。
ここでは、発生系と流出系のそれぞれで考えてみます。
まず今回は、発生系です。
調査した結果から「部品にキズが付いた」をトップ事象にしてなぜを問いかけていきます。
キズの発生系の原因と対策
部品にキズが付いたのは、なぜかを問いかけると「部品と部品が接触した」ことでキズが付いたのですが、なぜ接触したかを考えます。この部品はクリティカルな部品でキズを付けてはならないものであり、運搬の際には、部品を1個ずつ保護できる仕切り板がついた専用箱が用意されていますが、この時には、「工程間移動の際、仕切り板付きの通い箱を使わなかった」ことが原因となっています。
では、なぜ仕切り板付きの専用箱を使わなかったかを考えますと、「専用の通い箱の数が少なくて代わりに汎用箱を使った」ということになります。
更になぜ専用箱を使わなかったかを考えますと、「専用の通い箱を準備した数が少なくて、他で使われて当該現場にはなかった」ことが原因なので、専用箱を必要な数だけ追加して整備をすることが対策になります。専用箱の作製が間に合わない間は、クッション材などで部品の接触を防ぐ暫定的処置なども行います。
また、「専用の通い箱を使用するルールがなかった」ことも安易に汎用の箱を使うことになったものであり、この対策としては、手順書に専用の仕切り板付きの運搬箱を使う指示をしておけば、ミスは起こりにくくなるでしょう。
更に、クリティカル部品を取り扱う作業者は、小さいキズも許されない部品であることを認識しておくことも大切です。クリティカル部品であることとその取り扱いの再教育などが有効な対策の一つになります。
今回の事例は、クレームの状況設定の中で
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このA社では、この6ヶ月に2回別の類似部品で同じような品質問題があり、今回は、納入先から、原因を良く調べて是正対策を報告するよう厳しく求められた。
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としています。今回の部品と類似の部品にも、同じ問題を発生する危険性があるので、水平展開をしておくことも大切です。
一方では、キズが付いたのはなぜかを考えると、部品の形状から転がりやすいという観点があるかもしれませんが、こちらは部品の形状は変えられないので対策には繋がらないものなので、なぜで掘り下げることはしません。
この結果をなぜなぜ分析のフォーマットにまとめてみましょう。
下記になぜなぜ分析表をリンクしていますので確認ください。
尚、このシートには、
品名、発生日、分析者、分析日、発生内容、発生場所、処置と更に不適合現象と発生状況を書く欄を設けています。
必要に応じて、情報を書き込むフォームなどを準備されることをお勧めします。
文責 山本
「続き(第6回)を読む」
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