内部監査は、品質マネジメントシステム(以下QMSという)が正しく機能しているかどうかを評価し、改善につなげることが目的ですが、その評価には、適合性と有効性の2つの評価があります。

JIS Q 9100の箇条9.2.1の(a)項では、適合性の監査として、自社のQMSに関して自社が規定した要求事項(品質マニュアルなど)に適合していること(適合性)の評価が求められています。
(b)項では、有効性の監査として、QMSが有効に実施され維持されていること(有効性)の評価が求められています。また、これらを判定するために、パフォーマンス指標(KPI:下段で説明)を用いることが要求されています。

各々について、もう少し詳しく説明いたします。

先ず、適合性の監査は、監査の基本であり、要求された事項(JIS Q 9100要求、顧客要求及び適用される法令・規則上のQMS要求も含むことが望ましい)が自ら決めた手順(品質マニュアル、各種規定等)に適切に反映されているか、また各部門で手順要求通りに確実に実施されているかを運用・管理という面から監査し評価することです。

一例として、不適合品管理のプロセスで考えましょう。
不適合品が発生した際に不適合票を起草し、原因を調査し、対策が規定に従い、的確に記入されていれば、適合性は、問題なしということになります。しかし、再発がその後も多発しているとしたらどうでしょう。適合している作業をしていても、再発しているということでは、是正対策は有効に機能しているとはいえません。不適合品管理プロセスの有効性がないということになります。

では、有効性の定義とは何でしょうか?
JIS Q 9000「品質マネジメントシステム-基本及び用語」では、“計画した活動を実行し、計画した結果を達成した程度“と定義されております。計画に基づく管理が要求されていますが、一般的には、方針管理と日常管理があります。

方針管理は、経営者が策定する品質方針に基づき、管理者が品質目標を設定して管理するトップダウン活動であり、日常管理は、各プロセスオーナーが担当プロセスを日常的に管理するため、そのパフォーマンスの判断基準(監視項目及び管理値)を設定・監視し、検出した異常について確実な原因追及び是正対策を実施することであります。

このパフォーマンスの判断基準は、一般的にはKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)と呼ばれています。
従って、有効性の監査とは、プロセスのKPIの達成状況に基づき、プロセスの有効性を評価することになります。

先の不適合品管理の例では、例えば再発不適合件数をKPIとし、それが目標値から大きくオーバーしていると、不適合品管理プロセスは、有効性がないということになります。その場合には、内部監査指摘票で不適合品管理のシステムがうまく機能していないということを指摘することになるわけです。そこで原因を検討し、改善策を講じて、不適合品管理プロセスが有効に機能するようにしていく必要があります。

内部監査では、この例が示すように適合性だけでなく、プロセス毎のKPIの管理状況を評価して有効性の監査を行い、改善する事項に対処していくことが大切であることのご理解が得られたでしょうか?

内部監査の難しいところは、ルール通り実行されているから問題なしというのではなく、その成果が本当に上がっているかまで評価する必要があります。監査員には、ものごとを深く見抜いていく力が必要とされるわけです。

文責 山本晴久