今回からは、「組織の知識」について解説したいと思います。
先ず、JISQ9100の要求は下記の通りです。

箇条7.1.6 組織の知識:
組織は、プロセスの運用に必要な知識、並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を明確にしなければならない。
この知識を維持し、必要な範囲で利用できる状態にしておかなければならない。変化するニーズ及び傾向に取り組む場合、・・・・・更新情報を得る方法又はそれらにアクセスする方法を決定しなければならない。

更にこの箇条の注記として、組織の知識は経験によって得られること、内部の知識(知的財産、経験から得た知識、成功又は失敗から学んだ教訓、文書化してない知識及び経験 など)と外部の知識(標準、学会、顧客又は外具提供者からの知識収集 など)があると解説されています。

以前から、よくナレッジマネジメントと言われてきたものと同義です。企業においてマネジメントで重要なものは、生産管理、販売管理、財務管理、人的資源管理、情報管理で更にこの知識管理は、第6番目の管理とも言われています。個人の暗黙知を形式知に変換し、企業の知識の共通化、明確化を図り作業の効率化と改善などに繋げられるものと言えます。

組織の知識は、対象が広範囲に亘りますが、ここではこの中の失敗から学んだ教訓を取り上げてみます。

かつて筆者が経験した過去トラ集の活用です。過去トラとは過去に起きたトラブルのことでその会社/工場で実際に起きた不適合事例、社内でとどまらず流出したクレーム事例などを集めて分析し、その会社/工場の品質面の問題を明らかにし、改善に結び付ける活動です。
これを活用することにより

  1.  自社の品質問題の傾向を長期間で把握できるため、会社としての弱点などを知ることができます。
    具体的には、どんな不適合が多いか?(例えば、部品のキズか?寸法不良か?)また、原因は何が多いか?(H/Eがどの程度起きているか?設備のセッティング不良がどの程度起きているか?)などが分かります。
  2.  新しい部品の加工の際に、過去の問題を知ることにより、不適合の可能性のあるプロセスなどを知ることができます。
    以前にメルマガでも取り上げましたが、工程FMEAなどを実施する際には、不適合の発生頻度など把握しておく必要がありますが、この過去トラ集から情報が得られます。
  3.  報告書番号など関連付けることで、後々にその詳細が知りたい場合など、容易に振り返りができます。
    など多くのご利益があります。

過去トラのサンプルを下表に示します。

横軸の項目には、発生日、発生部署、発生場所、発見場所(社内/社外)、機種、製品名、不適合内容、発生原因と分類(4M+1E)、他場所展開、関連資料 としてあります。


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不適合発生の都度この表に埋め込んでいきます。Excelであれば各項目でフィルター機能がかけられるので、発生原因毎の絞り込みなども自由にできます。

次回は、活用方法についてもう少し話を進めたいと思います。
文責  山本