特殊工程管理について 第4回

特殊工程管理について 第4回

前回は、浸透探傷検査を例に、特殊工程管理の要点について解説いたしました。
今回と次回に分けて、浸透探傷検査のNadcap認証を取得する場合に要求される事項に関して少し解説したいと考えています。

先ず、Nadcapに関してですが、航空機の機体メーカ、エンジンメーカなどOEM企業が、取引先に部品製造などを委託する場合に、いわゆる特殊工程といわれるプロセスに関しては、自社の特殊工程承認を取得するように要求し、更にNadcap認証も取得するように要求してくることがあります。

OEM企業は、ここではサブスクライバーと呼ばれており、例えば下記のような企業が該当しています。
機体メーカ:ボーイング、エアバス、ボンバルディア、エンブラエルなど
航空エンジンメーカ:ロールスロイス、GEアビエーション、ユナイテッドテクノロジーズ、サフランなど
装備品メーカ他:ハネウェル、ロックウェル・コリンズ、テクストロン、グッドリッチ など

航空機関連の主要なメーカが目白押しになっています。
また、ここで特殊工程と定義されているプロセスに関しては、下記の通りとなっています。

この表からも分かるように、Nadcap認証取得対象工程は、一般的に特殊工程(Special Process)と言われているものをすべて網羅しており、更に、従来加工(機械加工の中の特殊加工:Conventional Machining as a Special Process)とか測定(Measurement & Inspection)に関してもNadcap認証の要求事項が定められています。

また、ここでは省略しますが、この特殊工程の他にシステムズ・アンド・プロダクツの区分で複合材、エレクトロニクス、油圧作動油供給システムなどがあります。

尚、Nadcap認証取得を要求するかどうかは、契約の相手方のOEM企業が要求するかどうかで決まります。従って要求されなければ、認証を取得する必要はありません。

そして、具体的な要求事項として、個々の特殊工程毎にNadcap要求を項目としてまとめたチェックシートがあります。AC(Audit Criteria)といわれ、個々の特殊工程毎に番号体系が振られています。

例えば、熱処理であればAC7102シリーズ、化学処理であればAC7108シリーズ、非破壊検査であればAC7114シリーズなどとなっております。
更に非破壊検査を細かく掘り下げるとAC7114は、非破壊検査全体に共通の要求、その下にAC7114/1は浸透探傷検査、AC7114/3は超音波探傷検査、AC7114/4はフイルムタイプの放射線透過検査の各個別要求が規定されています。

以上がNadcap要求に関する概要です。次回は、AC7114/1 浸透探傷検査の個別要求を見てみたいと思います。

文責 山本 晴久

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