納入後のクレーム 第1回

納入後のクレーム

名古屋品証研の山本です。

 弊社は、この7月からティ・エフ・マネジメント社からセミナー、コンサルティング業務を引き継ぐことになり、専用のHPを開設いたしました。今後、品質に関する雑感などをまとめたコラムを掲載するとともに、それをメルマガでも配信させていただきます。

 メルマガを読んでいただける方には、今回のコラムの最後に申し込み方法などご案内しております。

 最初のテーマは、“納入後のクレーム”を取り上げます。
理由は、社内で品質不適合が留められず、お客様のところまで流出するのは、品質保証担当者として最も恥ずかしいことの1つと長年考えてきたからです。

 筆者も40年以上に亘り品質保証に取り組んできました。H2ロケットでの打ち上げ失敗、H2Aロケット用エンジン開発でのトラブルなどマスコミに取り上げられるような大問題も経験しました。とはいうものの大半は、お客さまから納入製品に不適合があったとのクレーム通知を受け、その報告をするというものでした。その中で学んだいわば勘所です。

 少し長くなるので3回に分けてそのポイントを書いてみます。

1. クレーム情報を受けた時の基本動作
2. 原因究明と対策の立て方
3. お客様への報告
というようなものになりそうです。

 さて、今回は1項の「クレーム情報を受け取った時の基本動作」です。読者の皆様なら何をされますか?
筆者は、次の3つをポイントにしています。

(1)先ず、不適合製品の情報を詳しく知ること

・具体的には、不適合品の数、不適合の状況(キズなどの場合は、可能なら写真を頂く)、納入時期、納入ロットなどの情報を頂く。
・国内であれば、現品の確認と引き取りなどに出向くことなども大切です。
・情報は、いわゆる5W1H(誰が、何時、何処で、何を、何故、どうした)をきちっと把握するようにします。

(2)類似不適合品が納入されないよう迅速な囲い込み(英語ではContainment)を行うこと
・工場にある同部品は当然ですが、他部品でも同様の不適合の心配のあるものはすぐに調査をし、要すれば保留処置を行います。
・かつて、エンジン部品(輸出品)を担当していた時に、既に出荷して輸送中のものを全て調べて、お客様窓口にご報告したところ、迅速な処置としてお褒めを頂いたこともありました。

(3)代品の納入と製造記録の調査
・お客様の作業スケジュールを欠品で阻害することのないように代品などの納入を最優先で進めるとともに、対策のスケジュールと担当を決めて迅速処置に努めます。
・また、クレーム品の情報から製造検査のドキュメントを調査します。トレーサビリティ管理が十分できてないとデータ調査に手こずることになります。

 クレームを出したということは、信頼を損ねることに繋がるのですが、処置が遅れれば、更に信頼を失墜することになります。一方、迅速に報告し、お客様のご納得を頂ける処置が取れれば、むしろこの会社は品質に誠実に取り組んでいるという評価を頂けることにもなります。「災い転じて福となす!」の類です。

 こんな考え方で取り組んでいました。

 次回は、この続きを書いてみたいと思っています。

文責 山本 晴久

続き(第2回)を読む

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