あるQAマンの体験記 検査

前回と同じく顧客である海外の航空エンジンメーカからのサブコントラクト契約の下で製造する部品検査を担当していた時の話です。

航空エンジン部品製造における検査プランニングでは、製造工程、検査工程の承認を顧客から受けることが必要になる場合があります。製造プロセスでは、例えば特殊工程の熱処理とか、非破壊検査などは、設備、処理手順、処理条件などを確立し、また非破壊検査では、更に検査員なども個々に承認を受ける必要があります。

これらはプロセス毎の承認ですが、これとは別に、部品番号毎に製造/検査の顧客承認を受けなければならない場合もあります。筆者は、検査スタッフの立場で、検査指導書の承認取得を何度か担当いたしました。その検査指導書は、IMS(Inspection Method Sheet)と呼ばれていました。

ある時、新しい契約で、タービンディスクを受注した際、組立の際にブレードを取り付ける箇所(ブローチ盤で加工されるスロット形状:円周上に数十か所加工される)を検査するための検査技術を確立しなければならなくなりました。

検査のポイントとしては、スロット形状そのものが図面要求の形状公差内に入っていること、スロットの位置(部品の中心からの距離)が一定の公差内にあり偏心していないこと、そしてスロットの分割が均等であることなどがありました。

顧客での検査法は、投影検査で行われていたましたが、専用の高額の投影機(ディスクコンパレータと呼んでいました)が必要で生産量からしても、とても同じものを投資するわけにはいきませんでした。

そこで検査方法も自前で検討し、スロットの形状測定(タービンディスク本体で形状保証)のために汎用投影機を少し改造したものを米国の測定器メーカから購入することになりました。その際には、改造仕様書を作成するとともに、投影機の製造工程の確認のために米国の投影機メーカまで直接に見に行きました。その投影機と特別な検査治具を開発してスロット形状を検査する見通しを得ることができました。

一方、その投影機では計測できないスロットの寸法測定(位置と分割精度保証)は、導入したばかりの三次元測定機を併用することで検査法を開発しました。2つの設備でそれぞれの弱点を補完しながら検査するプランを作った訳です。  

そしてそれをIMSという形で検査手順書に落とし込み、実際に部品を検査して評価することにしました。改造した投影機を工場に搬入し、一からセットアップしなければならず苦労はしましたが、何とか部品を測定することができました。三次元測定機による測定もオペレータにつきっきりでデータを取得することができました。

そしてこのIMSの承認を受けることになるのですが、そのポイントは、検査方法が正しいことと、実際の検査データが顧客で測定したデータと有意な差がないことにより評価されます。通常は、3個の部品を測定し、データと共に提出します。いわゆるコリレーションを受ける訳です。

これらのプロセスを経て、顧客での検査の結果、コリレーションも問題がなかったということで、IMSの承認をめでたく受けることができました。クリティカリティーの高いタービンディクでは、1つの品質特性にこれだけの評価をするということを学ぶことができました。

入社間もない頃で、右も左もわからない筆者にチャンスを与えてくれた上司に感謝するとともに、やる気でやれば、困難なことも自然に道が開けていくという教訓を得た気がします。

この経験を通じて、航空エンジン部品全般における検査の厳格さ、契約元(顧客)の厳しい管理を体験することができました。このような仕事ができる環境にいられたことに今でも感謝しています。

文責 山本

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