今回から、筆者山本が20歳代の半ばから、50歳の半ばの約30年の間に2つの会社で経験したことを主体にコラムを書いてみたいと考えています。

重工メーカの検査部門、品質保証部門での経験と、更にモーター機器メーカの品質保証部門での経験から、コラムをシリーズ化して順に書きたいと思っています。まず、第1回から何回かに分けて、重工メーカの検査部門にいた時の経験談です。お付き合いいただければ幸いです。

さて、“米国エンジンメーカの駐在員(SQE)との出会い”から書き始めます。

ここで、SQEとはSupplier Quality Engineerの略でサプライヤ品質保証技術担当者のことを言います。

筆者は、1975年に重工メーカに入社し品質管理部に配属され、航空エンジン、航空機用油圧機器、ロケットエンジンなどを作っている工場に勤務することになりました。その中で部品検査を担当する係に配属され、最初の仕事は、部品検査のプランニングと現場の検査員をサポートすることでした。

部品検査のプランニングの主な仕事は、検査員が検査をできるように検査指導書を作ることでした。図面から寸法と外観検査の要求を検査手順書にブレークダウンするとともに、測定機器の準備をし、測定手順などを計画します。そして、特殊工程、非破壊検査などのスペックが呼び出されると、その要求を読みこなし、検査手順に落とし込む作業をしていました。

そんな中で、9月に筆者の教育指導員が、別の工場に配属替えになり、その指導員がされていた仕事も1年目の新人(筆者)が継ぐことになりました。実は、その教育指導員とは、ティ・エフ・マネジメント(株)を立ち上げた門間清秀氏でありました。(そのティ・エフ・マネジメントの事業を2019年に私たち名古屋品証研が継承しました)

 当時、勤務する工場では、米国エンジンメーカのサブコン契約としてエンジンの部品(タービンブレード)を生産していました。そして、その会社のSQEが1名、工場に駐在しておられました。比較的年配の方でよく私の面倒を見ていただきました。

月に2000個程度の生産をしていましたが、出荷の前に駐在員によるSource Inspection

(源泉検査)を受けること、また、不適合が出ると駐在員の確認を受けた上、契約元への航空便で再審申請を行い、判定が下りた後の現品処理(再審申請で使用可になったものは、通常の合印とは異なるスタンプで識別が必要で管理は厳しかった)などしていました。今ならメールでごく短時間で処理ができることを3~4週間もかけてやっていたわけです。ある意味で悠長な古き良き時代だったわけです。また、駐在員とは辞書を片手に慣れない英語で対応していたことを今でもよく覚えています。部品の納入に関しては、航空局からAirworthiness Certificate(耐空証明タグ)を発行してもらって輸出していました。

また一方では、部品の確認とは別に契約元の品質保証要求事項に基づく定期的な監査を駐在員から受けていました。このように入社一年目から米国駐在員との対応を通じて、要求事項の意味合いなど教えていただいたことは、まさに貴重な経験になりました。

このように少ない生産量でも1名の駐在員を源泉検査要員(SQE)としてわざわざ本国から派遣していることには、驚きました。担当している部品が、いわゆる回転体で、クリティカル品目であったことから厳しい外注管理が駐在員の派遣の下で、なされていたのだと思います。エンジン部品の調達の厳しい考えをここで学んだ気がします。

その後、筆者が外注管理をする方の立場にもなりますが、入社時に学んだ米国企業の外注管理の基本は、いろいろな場面で役立つことになりました。

文責 山本 晴久

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