特殊工程管理について 第10回 ~特殊工程とNadcap~
特殊工程管理について 第10回 ~特殊工程とNadcap~
前回は、Nadcap認証取得に関わるステップの1~7を解説しましたが、今回は、ステップ8の審査を説明します。
8.審査
審査スケジュールは、事前に設定しておく必要があります。
オープニングは、
・審査スケジュール(Job Audit) ・会社概要 ・適用スペックの一覧表(適用版)
・対象部品に関する情報 ・スコープ(認証範囲)などの確認を行います。
また、日々の審査終了時、Wrap upミーティングで、その日の状況を確認します。指摘事項などは、審査員に記載してもらい、内容の確認と解釈ミスの防止などを図ります。指摘事項が出された場合には、それに対する迅速かつ適切な対応が求められます。基本的には、すべて英語で行われますので英語力が必要になります。
8.1 Nadcap審査
(1)書類審査
予め作成した規定類、手順書などの書類としての審査を受けます。通常は、現場でなく、会議室で審査員の質問に答える形で行われます。
(2)Job Audit
Job Auditは、現場立会の下で実施する審査です。実製品に関する全プロセスを追って確認されます。
審査の内容は、
・契約書のレビュー ・プランニング゙ ・校正 ・作業パラメータの適合性
・検査及び試験 ・トレーニング゙ ・認定/資格付与 ・不適合内容確認など
が対象とされます。
作業者/検査員が認定されている場合は、実作業のデモンストレーションを指名されたものが審査員の立会の下で実施することになります。
8.2 審査指摘への対応
審査員は、不適合と判断した事項に対してNCR(Nonconformance Report))を発行します。指摘内容は理解できるまで確認し、納得できない場合は反論してもいいとされています。
NCRには、下記の2種類があります。
・Major Nonconformance:生産管理又は、品質管理システムの欠如、又は製品の完成に影響がある、又は影響がある恐れのある不適合
・Minor Nonconformance:システム上の単独で発生した不適合、又は標準規格や審査規格に対する不適合
NCRの報告(回答)は、全て英語でやりとりする必要があります。eAuditNetに掲示されるので、指定されたところにNCRの処置結果をアップします。
その際、根本原因の追究、是正対策の立案(証拠の添付も必要)と実行をします。回答のやり取りは4回までで、回答が大幅に遅れると、「不合格」になることもあるようです。
8.3 認証
NCRの回答がすべてクローズすると、認証取得が完了します。この通知もeAuditNetで行われます。Nadcap認証取得企業としてリストに登録されるとともに証明書が送付されてきます。
認証の有効期限は、最初は1年で都度更新していく必要があります。また、指摘事項が少ないとメリットプラグラムというのがあり、最大2年まで有効期限が伸ばされます。
以上で10回に亘り、前半は特殊工程、そして後半はNadcapに関する解説をいたしました。
ご理解いただけたでしょうか?
文責 山本 晴久
「次回(組織の知識)を読む」
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