#3_内部監査員リーダの力量について

今回は第3回目としての内部監査員のチームリーダーの力量についてお話ししましょう。

前回同様にJIS Q 19011“マネジメントシステム監査のための指針”(以降19011)にチームリーダーとしての力量に関する有益な指針が示されており、共有したいと考えます。7.2.3項“監査チームリーダー”の共通的な力量“を参考にしましたが、今更ながら目の付け所に感心します。

  1. 監査を計画し、監査チームメンバーの固有の力量に応じて監査業務を割り当てる
  2. 被監査者のトップマネジメントと戦略的課題について意見交換する
  3. 監査チームメンバ間に協力的な業務関係を構築し、維持する
  4. 次の事項を含む監査プロセスをマネジメントする
    監査中に資源を有効に活用する
    ・監査目的を達成することの不確かさをマネジメントする
    ・監査中のチームメンバの安全衛生を保護する
    ・監査チームメンバを指揮する
    ・訓練中の監査員を指揮及び指導する
    ・必要な場合、監査中に発生し得る利害抵触及び問題を防ぎ、解決する

特徴的な項目を少し深堀してみましょう。1項、3項は前回もお話ししましたように監査チームメンバーのポテンシャルを引き出し、加えて各メンバーを監査チームとしてまとめて、活用できるような力量を求められています。

被監査側とのコーディネーション能力も重視されています。2項にある被監査側トップマネジメントとの戦略的課題の意見交換がうまくできないと、円滑な有効性監査は困難でしょう。

また監査中に指摘になりそうな状況に遭遇した場合には、早急に被監査側に伝えること、更に監査所見又は、監査結論について被監査側との間に意見の相違あれば協議し、解決できなかったならば、記録に残す(6.4.10 “最終会議の実施”)とあり監査側の独断を戒めています。

さて上記の内部監査チームリーダーの力量は9100要求に基づくものですが、近年、航空エンジン向けに制定された品質保証要求AS13100では、対象とする内部監査の範囲拡大(QMSだけではなく、製造工程監査、製品監査、特殊工程監査も要求)や、各監査に対応する監査員の力量も明記され、チームリーダーも”Lead Auditor”として守備範囲が拡大する等、異なるアプローチが要求されています。

加えて内部監査向けの参考資料としてRM13005と呼ばれるドキュメントが発行され、AS13100要求についての詳細説明、及びベストプラクティスが紹介されており、航空エンジン部品メーカさんには頭痛の種となっていますので、次回はこの内容を紹介したいと思います。

文責:小林 淳一郎

現在、監査員として、監査リーダーの指導の下で監査に参加している方が、今後、監査リーダーとして活躍するためには、監査計画立案、監査チームをまとめるリーダーシップ、円滑に監査を進めるための対外折衝等について理解する必要があります。

航空エンジン分野で新たに設定された品質保証要求AS13100では、監査リーダー(LeadAuditor)の認定を義務付けています。当セミナーでは、JIS Q 9100及びAS13100(RM13005)に基づき上記のスキルについて説明し、グループワークにて理解を深めていただくセミナーを開催しております。

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