ジャストカルチャーとオープンレポーティング #4
三回にわたり、『ジャストカルチャーとオープンレポーティング』をテーマに
<第一回>
AS13100『AEROSPACE STANDARD AS13100:航空エンジン設計および製造組織に対するAESQ品質マネジメントシステム要求事項』における記載内容
<第二回>
『ヒューマンエラーは裁けるか 安全で公正な文化を築くには JUST CULTURE:Balancing Safety and Accountability シドニー・デッカー』のプロローグの要約から『ジャスト カルチャー(公正な文化)』という言葉が意味するところ
<第三回>
『ジャスト カルチャー(公正な文化)』の出発点ともいえる『オープンレポーティング』について実践を問うてみるということ
そんなお話させていただきました。ではいったい「公正な文化」 を築くにはどうしたらいいのか。
「公正」も「文化」も2つの巨大な概念である。これらは基本的に御しがたく、扱いにくいものである。
一方、「関係」なら築ける。良好な関係こそが公正な文化に向かう大きな一歩である。
良好な関係とは、情報開示と誠実さに関することだけでなく、お互いに対する責任感と役割分担に関しても必要である。良好な関係は、コミュニケーションに関すること、期待と義務について明確にすること、お互いから学ぶことを含む。
シドニー・デッカー
【 公正な文化を構築するためのアプローチ 】
第一段階:まずは足もとから、あなた自身の組織から
- インシデントは無料のレッスンである
- インシデントを起こした結果として金銭的・職業的な罰を科してはならない
- インシデントに関与した実務者に汚名を着せることのないよう注意する
- インシデント後の実務者を援助するために、既存の面接プログラムや、重大インシデント/ストレスマネジメントプログラムがある場合は、それを活用する
- インシデントを取り扱う専任の安全スタッフの部局を設置する、ライン組織の一部ではいけない
- 教育訓練の初歩から開始し、インシデントを報告することが学習する文化にとって重要であることに気づかせ、安全な組織と不安全な組織の違いは、そこで起きているインシデントの数ではなく、インシデントがどのように扱われているかの違いであることを確信させる
- インシデントに関連する自分たちの権利と義務を周知徹底する
インシデントを誰に話すべきか、話すべきでないかを印刷した名刺大のカードを用意し、少なくとも無用なおそれや心配から、貴重なインシデント情報を隠してしまうことを防止する とか
【 「公正な文化」を築くために必要な考え方 】
- ヒューマンエラーはインシデントの原因ではなく症状、ヒューマンエラーはシステム内部の深いところにある問題の結果
- 犯罪をおかすために仕事を選んだ専門家はいない、彼らの行為はその時点で受けていたプレッシャーと目標の下でこそ道理に適っている
- 一つの「真実」なんて存在しない
- 単一の説明では複雑な事象を公正に扱うのは無理である、説明同士一部は重複し一部は矛盾するだろうがそれでよい
- 「下からの視点」に注意を払う
シドニー・デッカー
いくつか引用しましたので
これらの中で実践できていることは何か・・・
これらの中からまずは一つでも実践できそうなことはないか・・・
そう考えていただけると幸いです。
最後に
私が実施している「ヒューマンエラー防止」、「飛行・製品安全」や「コンプライアンス」に関するセミナーでいつも紹介している
究極の質問 “これでわかる! あなたの組織の安全文化やコンプライアンス” です。
“ 安全文化やコンプライアンスは、ボスが悪いニュースを聞いてくれる文化である “
『ヒューマンエラーを理解する』 シドニー・デッカー
文責 原田 直弥
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