【#3】JIS Q 9100:2016の要求事項 不適合処置
不適合処置というと一般的には、製品の不適合に関する処置について考えますが、QMSの不適合への対応も必要です。
JIS Q 9100:2016年版では、
製品の不適合に対する処置は、箇条8.7 不適合なアウトプットの管理 で、
その是正処置は、箇条10.2 不適合及び是正処置(10.2.1 b))で要求しています。
また、QMSの不適合に対する処置は、箇条10.2 不適合及び是正処置(10.2.1 a))で、
その是正処置は、製品の是正処置と同様に箇条10.2 不適合及び是正処置(10.2.1 b))で要求しています。
ここでは、製品の不適合に対する処置と是正処置の要求について、JIS Q 9100の要求からその特徴を述べたいと思います。
JIS Q 9100はその生い立ちから、性悪説の考え方がベースにあります。製品の不適合において、廃棄と判定した製品は、物理的に使用できないようにして明確な印を付すか、確実に管理しなければならない とあります。これは、廃棄品を故意に、又は誤って使用されないようにするためのものです。
また、模倣品又は模倣品の疑いのある部品は、サプライチェーンへの再混入を防止するために管理する、即ち不適合製品として取り扱う とあります。
これは、購入元へ返却し場合に別の顧客に良品として販売されないようにするためと考えられます。一般的に性善説を旨とする我々には、そこまでするのかと思われる方もいると思いますし、筆者も当初はそのように感じたものでしたが、性悪説として考えると理解できました。
余談ですが、筆者は、廃棄と判定されたエンジン部品(特に、ホットセクション部品)を使用できないように傷つけたり変形させたりするのに苦労した経験があります。
一方、重点指向的な考え方もJIS Q 9100にはあります。箇条10.2.1 b)で要求される不適合に対する是正処置の要求では、その処置の必要性を評価(不適合のレビューや分析、ヒューマンファクターを含めた原因の特定、類似不適合や再発の可能性の有無など)し、必要な処置を実施する、とあります。
これは、その不適合に対する製品安全や費用面などの影響度が大きい場合には、是正処置を決定し確実に実施することを要求していますが、小さいと判断すれば是正処置は不要としています。なお、実施した是正処置に対しては全て、その有効性をレビューすることが必要です。
不適合処置の帳票は、一般的に原因とその是正処置まで記入するようになっていますので、是正処置は不要と判断したのであれば、その理由などを記載しておくことがよいと思いますが、これは組織の考え方で進めることになります。
以上のように、規格ができた背景などから要求内容を紐解いてみました。
文責 古郡 秀一
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