#4_既存の内部監査(QMS監査)に追加される監査について
今回はこのシリーズ最終回(第4回)です。前回紹介しましたように、近年展開が開始された航空エンジン向けの品質保証要求AS13100では、内部監査について追加の要求が指示されています。昨年11月のAS13100紹介コラムと一部内容が重複しますが、改めて紹介します。
1. 以下の4種類の監査を要求
① 品質システム監査:QMS要素は3年以内に全点実施、ただし主要項目の監査は毎年実施
② 製造工程監査:3年以内で関連するすべての製造工程を網羅するように実施
③ 製品監査:毎年実施
④ 特殊工程監査:毎年実施
2. 内部監査員の資格要件を詳細/厳格化
① 1項の監査毎に監査員資格を設定
② ①項で設定した各監査員資格では以下の項目について要求事項を明確化
・初回認定トレーニング:認定のために必要なトレーニング受講
・経験:必要な知識や経験(実務経験や監査経験等)
・認定の維持:資格の維持のための条件(監査頻度、リフレッシュトレーニング等)
これだけでも十分ややこしいのですが、内部監査向けの参考資料としてRM13005と呼ばれるドキュメントが発行され、AS13100要求の詳細説明、及びベストプラクティスを紹介しています。
9100要求との大きな違いは、監査員の力量管理です。AS13100では品質システム監査リーダーを “Lead Auditor”と称し、航空宇宙分野の監査リーダトレーニングの受講(外部教育機関推奨)が要求されています。また前述のRM13005では、
“Lead Auditor”について以下のような追加事項の記載があります。
●責任範囲が、監査プログラム(監査年度計画)や年度監査報告等、従来の監査チームリーダの立場より拡大
●従来の監査チームリーダは“Responsible Auditor” と称され、認証要件は監査員と同等
AS13005、RM13005とも現在OEM(航空エンジンメーカーのRR、GE等)による対応状況の監査が開始されたばかりで、今後の対応実績により、解釈が固まっていくものと期待しています。弊社の内部監査員リーダー養成セミナーではこれらの内容も、サポートしていますので、ご興味ある方は弊社窓口にお問い合わせ下さい。
4回にわたり、内部監査について新たな切り口で説明してきましたが、改めて奥が深い活動であり、組織のQMS体制維持のキーポイントであると再認識しました。皆様の内部監査の展開の際にご参考になれば幸いです。
文責:小林 淳一郎
現在、監査員として、監査リーダーの指導の下で監査に参加している方が、今後、監査リーダーとして活躍するためには、監査計画立案、監査チームをまとめるリーダーシップ、円滑に監査を進めるための対外折衝等について理解する必要があります。
航空エンジン分野で新たに設定された品質保証要求AS13100では、監査リーダー(LeadAuditor)の認定を義務付けています。当セミナーでは、JIS Q 9100及びAS13100(RM13005)に基づき上記のスキルについて説明し、グループワークにて理解を深めていただくセミナーを開催しております。
■JIS Q 9100 内部監査員リーダー養成
開催日:2025年2月28日(金)/7月4日(金)
受講料:36,300円(税込)
詳しくはこちらをご覧下さい>>>>