ジャストカルチャーとオープンレポーティング #3
前回(第二回)は
『 ヒューマンエラーは裁けるか 安全で公正な文化を築くには
JUST CULTURE:Balancing Safety and Accountability シドニー・デッカー 』
のプロローグの要約から『ジャスト カルチャー(公正な文化)』という言葉が意味するところ、その難しさを垣間見ていただきました。
第三回は『ジャスト カルチャー(公正な文化)』の出発点ともいえる『オープンレポーティング』についてお話させていただこうと思います。
なぜオープンなレポーティング(報告)が必要か?
“ 安全水準を高め続けるために学習が不可欠であり、人が学習するためには報告が不可欠だということ。”
シドニー・デッカー
インシデント、不適合、ヒヤリハット、気掛かりなこと、日々の気づきに至るまで報告がされなければ学習できず改善もすすみません。
一方で前回読んでいただいたマーラの物語に見る通り
・マーラは「オープンな報告」をし、その結果どうなったでしょう
・マーラ以外の人が「オープンな報告」をしなかったのはなぜでしょう
なぜ人は報告しないのか?
人が率直に報告しないのは
1)報告した結果がどうなるか、全くわからない。
2)結果は悪いものかもしれない。そのような悪い結果に巻き込まれるのが怖い。
3)結果はわかっている。報告してもそれに対して組織が何もしないという結果を知っているので、報告する意味がないと感じている。
シドニー・デッカー
ではどうしたらいいのか?
人々に報告をさせるには、二つの重要なことがある。
(1)報告システムへのアクセスを最大化する
・容易にどこでも使える報告フォーム、書き込んだり送ったりが煩わしくない 等
(2)不安を最小化する:組織として明文化された方針があるか
・報告は、その後どう使われるのか?
・誰が報告を見るか?
・自分自身や自分のキャリア、また同僚を危険にさらすのか?
・自分に対する法的措置を誘発しやすくなるか?
シドニー・デッカー
さらに、こんなことも課題となります。
報告すべきは上司か、安全管理スタッフか?
部署の仕事を継続的に改善していく上で、ライン報告制度を維持することは非常に生産的かもしれないが、報告者が容易に特定され、報告することが直接キャリアに影響し、問題の一部にライン管理者自身が含まれる場合そこで情報が止められてしまうなどの副作用がある。
しかし、ラインベースとスタッフベース(あるいは、公式システムと秘密システム)の報告ルートは、変革のために様々な手段を提供する。両方のデータソースを活用して改善のための情報を引き出さないのは、組織にとって資源の空費と言えよう。
シドニー・デッカー
既にどの会社でも、もちろんこれを読まれているみなさんの会社でも、職制を通じて実施する「不適合」や「ヒヤリハット」などの報告の仕組みはもちろんのこと、職制を通さない「社内・社外への通報・相談窓口」、「目安箱」、「ホットライン」などが整備・設置されていることと思います。
一方で、“ (2) ” にある “報告の不安を最小化する組織として明文化された方針” はあるのか?
更にそれは方針に留まるものではなく、それに基づく行動、その方針を裏付ける実践、実績はあるのか?
まずはそこを問うてみる必要があるのかもしれません。
文責 原田 直弥
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