民間航空エンジンに関する品質要求AS13100_ヒューマンファクターズはやっぱり人が大事です

民間航空エンジンに関わる新しい要求であるAS13100が2023年1月より適用がスタートしました。JIS Q9100の補足要求としてP&W、Rolls Royce、GEなどのエンジンメーカからこの新しい要求がフローダウンされて既に適用している、あるいはこれから適用という会社も多くなってきたと思います。

さてそのAS13100規格でユニークなところをピックアップしておりますが、その一つがヒューマンファクターズ(人的要員)の取組みについてです。

ちなみにヒューマンファクター(ズ)はWikipediaでは以下のように定義されています。

ヒューマンファクター(英:human factor(s))は、人間や組織・機械・設備等で構成されるシステムが、安全かつ経済的に動作・運用できるために考慮しなければならない人間側の要因のこと。一言でいえば「人的要因」である。ただし、”Human Factors” と複数形で綴ると、「ヒューマンファクター学」の意味合いを持っており、単なる「人的要因」では片付けられない、機械・設備等や職場環境などについて人間本位で考える学問・研究分野という意味合いとなり、人間の能力や限界・特性などに関する知見や手法などの総称と定義される。

ヒューマンエラーやヒューマンファクターズはJIS Q9100規格でも要求はありましたがその取り組みについてはあまり具体的には示されていなかったように感じます。

これに対してAS13100では箇条5の “リーダーシップ” において
①トップマネジメントはヒューマンファクターズの取組みに対してコミットメントを示すこと
②トップマネジメントは品質目標にオープンな報告や組織内のヒューマンファクターズ展開の改善などを含めること

という組織のトップがやるべきことが要求として示されています。

また箇条4.4 “品質マネジメントおよびそのシステム” ではトップのコミットメントを受けての活動が示されています。
①従業員に対するヒューマンファクターズに関するトレーニングの実施
②ミスや問題点の共有が出来るオープンな報告文化の導入
③問題発生時の調査にはヒューマンファクターズを考慮

ここでトップのコミットに対する要求とオープンな報告文化の導入という点が従来のQMS要求と比べてすこし新しいなと感じました。
ヒューマンファクターズというと、「人はミスをする生き物なのでそれを防ぐ手立てや仮にミスが発生しても
重大な問題とならないような対策を取る」というようなことはよく言われます。もちろんそれもとても大切なことですが、

“都合の悪いことはいわないほうがよさそう”とか“変な忖度”が生まれるような職場環境では正しい方向を見誤ってしまう(ミスを誘発する)ことになるかもしれません。特にトップマネジメントがそれをヒューマンファクターズとして強く意識していなければならないということですね。

ここまで4回に渡ってAS13100のユニークなところを紹介してきました。
この要求は航空エンジンに対するものではありますが、いろいろな分野で活用できるものだと感じています。
興味がある方はAESQのサイトを覗いてみてはいかがでしょうか。

文責  竹内 朗

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