海外民間航空エンジンに関する品質保証要求 ~FAIは独立検査で~

品質保証事業部部長の 竹内です
3回目はFAI(First Article Inspection初品検査)についての少し厳しいロールスロイスの要求を紹介したいと思います。
連載コラム 第1回 海外民間航空エンジンに関する品質保証要求
連載コラム 第2回 本当に全箇所測定するのですか?

ロールスロイスの品質保証要求(SABRe セイバー)には“Perform FAI using an independent inspection system.”という記述があります。これを直訳すると“FAIは独立した検査システムを用いて実施すること”といったところでしょうか。
これだけだとなんだかよく分からないかもしれませんね。

independent inspection(インディペンデントインスペクション:独立検査)というのは通常の製造工程で行う検査(ロールスロイス要求では原則全ての特性を確認する必要があります)とは別の人が別の計測器を使って通常検査とは完全に独立した状態でFAIを実施(もちろん全ての特性の確認が必要です)しなければならないという要求です。

たとえば通常の検査をAさんが実施したならFAIはBさんが計測器を変えて実施することになります。つまり同じ部品で2廻り検査を行うということですね。ただし三次元測定機(CMM)など、プログラミングで自動計測ができる検査装置の場合は操作する人を変更してもあまり意味がありません。

そこでこのような場合にはプログラミングを行う人(プログラマー)を変えて通常検査とは独立した計測プログラムを作成するよう要求には書かれています。

ロールスロイスとしては、完全に独立した検査を行うことで、万が一検査に誤りがあった場合にもそれを検出、修正できることから、より確実な製品保証を目指しての要求かと思います。この要求を突き付けられたときにはなんでこんな時間ばかりかかるムダなことをやらされているのだろう・・と思ったものです。

それでも時にはこの独立検査を行ったことで図面解釈の勘違いや計測箇所の間違いなどに気づかされたこともありました。実際、独立検査の対応にはかなりの労力も費やしましたが全くの無駄骨でもなかったようです。

名古屋品証研では愛知県小牧市の小牧計測センターに各種寸法計測機器と技術者を集結し、精密寸法計測、FAIの代行、三次元測定機の計測プログラム作成なども行っています。
独立検査の対応はもちろん、皆様の計測に関する悩みごとなんでもお気軽に相談ください。

文責 竹内 朗

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