運用リスク管理 このように進めました

 

前回に続いて運用リスク管理について解説します。今回は事例紹介として弊社で過去に実施した運用リスク管理について説明します。
連載コラム1:リスク管理 できていますか?
連載コラム2:運用リスク管理をどう進めるか

弊社では新規プロジェクトを受注した際に運用リスク管理を実施しています。今回事例として紹介するのは、技術的にハードルが高かった約10年前に受注した新しい機種の検査作業に関する運用リスク管理です。前回のメルマガで、運用リスク管理の一般的なステップは、1.リスクの特定、2.リスクアセスメント、3.リスク対応、4.リスクコントロール と説明しましたが、この順で説明します。

  1. リスクの特定:特定したリスクの一部を紹介します。
    リスク① 超音波検査に関してスペック(技術仕様書)が新たに制定されたが、現有の検査装置能力で欠陥を確実に検出できるか?
    リスク② 超音波検査装置1台で作業ローディング的に対応できるか?
    リスク③ 部品の検査でCATIA V5での図面閲覧が必要となるが対応できるか?

  2. リスクアセスメント:発生確率と影響度を検討し次の通り評価しました
    リスク① 発生確率3 × 影響度5 = リスクポイント15
    リスク② 発生確率3 × 影響度3 = リスクポイント 9
    リスク③ 発生確率3 × 影響度3 = リスクポイント 9
    (注 リスク①、②、③の内容は上記(1)を参照ください)

  3. リスク対応:各リスクに対してリスクを回避/軽減する計画を作成しました。要点は次のとおりです。
    リスク① 製品に先立ち製作される工作試験供試体で検査方法を検証し、問題点を洗い出し、顧客と調整して問題を解決する。
    リスク② 顧客から生産スケジュールを入手し、作業ローディングを積み上げ、必要な人員を配置する。その際、力量評価、教育訓練も必要。
    リスク③ CATIA V5での図面閲覧について顧客と調整する。また担当者にCATIA V5の操作方法を教育する。

  4. リスクコントロール
    社長が本プロジェクトの責任者を務めていたので、毎月開催するプロジェクト推進会議で、当時の社長がリスク計画書のアクションアイテムの報告を受け、必要な事項を指示して、各リスクの解決を進めました。

以上が弊社での事例です。運用リスク管理についてイメージをつかめていただけたなら幸いです。

弊社では、技術的にもリソース的にも特に問題なく、この新機種の検査に対応することができました。リスク管理に限らず、他の準備も確実に実施した成果ではありますが、プロジェクト立ち上げにおいて運用リスク管理は重要だと考えます。

次回はリスク管理の効能について説明します。

文責 有田 智充

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