運用リスク管理をどう進めるか

 

前回に続いて運用リスク管理についての解説です。今回は運用リスク管理について一般的な進め方について説明します。
連載コラム2022.9.6配信(リスク管理 できていますか?)

  JIS Q 9100 箇条8.1.1「運用リスクマネジメント」で、要求事項の達成に向けた運用リスクを管理するためのプロセスを計画、実施、管理するように要求され、「航空、宇宙、防衛産業では、リスクは一般的に発生確率及び結果の重大性の観点で表現される」との注記があります。

運用リスク管理の具体的な進め方までは、規格で要求されておらず、組織や製品に応じて適切なやり方を定めて計画、実施することになりますが、通常は以下のステップで進めます。

1)リスクの特定
プロジェクトを立ち上げる際に、運用リスクを決定します。運用リスクはどこに内在しているかわからないので、設計、生産技術、製造、調達、品質保証など各部門から当該プロジェクトの推進に係る運用リスクを抽出し、組織内で横通しを行って、プロジェクトとしての運用リスクを特定します。

2)リスクアセスメント
上記(1)で特定した運用リスクごとに、リスクアセスメント(評価)を行います。
発生確率と影響度(結果の重大性)を掛け合わせてリスクポイントを評価します。発生確率と影響度を1~3で評価する事例と、1~5で評価する事例を下図に示します。例えば左図であれは4以上を、右図であれば10以上をメジャーリスクとして取り扱うなど組織でルールを定めます。

3)リスク対応
上記(2)でメジャーリスクと評価した運用リスクについては、リスクを回避し、軽減するための解決策、スケジュールをリスク計画書などにまとめます。

4)リスクコントロール
組織の各部門は上記(3)で作成したリスク計画書に従い、リスクを回避、軽減する解決策を推進します。さらにプロジェクトマネージャ(責任者)が定期的にリスクの解決状況をフォローして、プロジェクトの進捗に合わせて運用リスクの解決を進めていきます。

以上、今回は運用リスク管理の進め方、ステップについて説明しました。
次回は運用リスク管理の具体的な事例について説明します。

文責 有田 智充

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