JIS Q 9100の分かり易い解説について(第10回-3)
前回(第10回-1)と前々回(第10回-2)では規格が要求する内部監査の実施方法等について掲載させていただきました。
昨今、航空宇宙防衛業界等で企業様の不祥事が多発しており、日本企業の品質に関する信頼が大きく揺らいでいます。そこで不正防止を強化するための規格として、
令和3年3月にSJAC9068B「品質マネジメントシステム - 航空,宇宙及び防衛分野に対する要求事項 - 強固なQMS構築のためのJIS Q 9100補足事項」、
令和3年4月にJAQG規格21-00「認証審査ガイドライン」が認証機関の推奨される確認事項として発行されました。
これに伴い、認証機関の審査おける確認事項の見直し、顧客より購買先に対するSAC9068Bの追加要求が実施されております。
そこで、上記規格の要求事項を参考にした不正を発見・防止するための、内部監査における推奨される主な確認項目及びそのポイントの事例を次に示します。
(1)トップ自らが率先して、不正防止活動を促進しているか。
・品質方針に製品安全、コンプライアンスに関わる指針を示しているか。
・定期的なコンプライアンス教育を実施しているか。
・受注予想を考慮した適正な人員計画になっているか。
(2)検査で改ざんしていないか。
・生データを改ざんができないようなシステムがあるか。
・生データと成績書データの突合せを行い,齟齬がないか。
(例えば,生データの日付と検査日は整合性が取れているか)
・試験報告書,検査データ等で,手書きによる修正箇所がないか。(筆跡にも注意を払う)
(3)購買製品に対する不正防止を強化する。
・購買先に対して記録のねつ造・改ざん防止を要求しているか。
・生データの保管管理を要求しているか。
・源泉検査等で、生データと成績書の整合性等を確認しているか。
内部監査における主なポイントを記載しましたが、被監査部門が意図的に事実を隠した場合は、不正を発見するのは困難です。そこで、自部門で自主的に同様な項目を監査されることを推奨します。
なお、当社では不正防止活動に関するセミナー(2時間)で実施していますので、関心を持たれた方は、是非当社のHPをご覧願えれば幸いです。
今回、メルマガの締め括りとしてSJAC9068Bを鑑みた内部監査のポイントについてお話しさせていただきました。本シリーズをご覧願った方々に深謝いたします。
文責 松田一ニ三
当社では主に航空宇宙の品質に関わるご支援をしております。
以下、リンクです。
・JIS Q 9100:2016 認証取得支援
・Nadcap 認証取得・更新支援
・JIS Q 9100:2016 規格解説セミナー
・JIS Q 9100:2016 内部監査員養成セミナー
・その他、お気軽にお問合せください。