JIS Q 9100の分かり易い解説について(第10回-2)
前回は、箇条9.2 内部監査における適合性の監査を主体に掲載させていただきました。今回は、箇条9.2 内部監査における有効性の監査についてお話しさせていただきます。
規格では、次の通り要求されています。
9.2.1 a) ・・・略
b) 有効に実施され、維持されている。
注記 内部監査を実施する場合、品質マネジメントシステムを効果的に実施し、維持しているかを判定するために、パフォーマンス指標を評価することができる。 」
b)は、有効性の監査に対する要求事項です。
JIS Q 9000:2015で、有効性とは“計画した活動を実施し、計画した結果を達成した程度“と定義されています。“計画した活動を実施(プロセスの実現度)”とは、改善・改革目標を達成するための実行計画書及び品質マニュアル、細部手順書等の規定通りに実施することです。“計画した結果を達成した程度(プロセスの成果達成度)”とは、品質目標又は改善目標を達成した程度です。
即ち、有効性とはルール通りに実施して、目標値を達成した程度のことです。適合性が基本であり、ルール違反をしている場合は、いくら数値だけ達成していても有効性があるとは言えません。
認証機関の審査では、審査要求であるSJAC9101Fに基づき、“プロセスの実現度”と“プロセスの成果達成度”の観点により、5段階の有効性のレベル評価が行われます。有効性の評価対象となる活動は、先ずはトップマネジメントが策定した品質方針に基づき、部門長が設定した品質目標を達成するための方針管理があります。
もう一つは、プロセスオーナーが自分の担当プロセスが問題なく機能しているかを監視指標及び管理値で監視する日常管理があります。
ただし、企業様の内部監査で認証機関と同様の方法で有効性のレベル評価を行うことは、内部監査の目的は評価ではなく自組織を改善することにあり、当社としては内部監査でレベル評価を行うことは、推奨しておりません。有効性の監査は、SJAC9011Fのやり方(ツール)等を活用して、改善の機会を見つけ
出し、被監査部門と協議して改善することが大切です。 不正防止を強化する規格SJC968B(R3/3)が発行され、認証機関の審査における確認事項も見直されています。次回は、これを踏まえた内部監査のポイント等について記載させていただきます。
文責 松田一ニ三
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