JIS Q 9100の分かり易い解説について(第10回-1)

前回は、箇条10.2不適合及び是正処置で、不適合製品に対する是正処置を主体に記載させていただきました。
今回は、箇条9.2 内部監査についてお話しさせていただきます。

規格では、次の通り要求されています。
 9.2.1 組織は、品質マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために、あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。
 a)次の事項に適合している。
   1)品質マネジメントシステムに関して、組織自体が規定した要求事項
   注記 組織自体が規定した要求事項には、顧客及び適用される法令・規制上の品質マネジメントシステム要求事項を含むことが望ましい。    
  2)この規格の要求事項             
 b)有効に実施され、維持されている。
  注記 内部監査を実施する場合、品質マネジメントシステムを効果的に実施し、維持しているかを判定するために、パフォーマンス指標を評価することができる。                    」                

先ず、内部監査について理解される際に大切なことは、その目的を正しく理解されていることです。セミナー等で受講者の方に、目的を質問させていただくと、“ルール通りに実施していなかった場合、不適合と指摘することです。“という回答が良くあります。指摘することは目的ではなく、手段なのです。目的は、自組織を改善することです。常に、改善を念頭において内部監査を実施されることが重要です。 

次に規格では、内部監査のやり方は、上記のa)で示す適合性の監査とb)の有効性の監査があります。適合性の監査は、規格等の要求事項が品質マニュアル等の手順書に適切に反映され、その通りに運用・管理されているかを監査することです。

 その際に注記にもありますように、顧客の要求事項、更には製品によって適用される法令がある場合は、それらの要求事項も含めて監査することが求められています。

 規格の要求事項は当然ですが。お客様の要求事項についても正しく理解して、品質マニュアル等に分かり易く規定する必要があります。例えば、お客様毎の要求事項を一覧表等により識別する等の工夫が必要です。そして、お客様の要求事項も含めて、規定された通りに運用・管理されているかを監査することです。

次回は、b)の有効性の監査方法等について記載させていただきます。  

 文責 松田一ニ三

  

名古屋品証研株式会社

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