1980年代前半の頃と思いますが、CAD/CAMシステムの品質保証要求がボーイング社から出されました。この時代は、ボーイング社では新規の機体開発がB767から始まり、その後B777、B787と続く時期でした。B767の時は、図面をCAD(2D)で書かれており、紙の図面ではなくなっていました。ダッソー社が開発したCAD/CAMシステム(商品名はCADAM)です。

紙の図面とコンピュータの図面(データ)があると、基準が2つあることになるので、コンピュータのデータを基準にし(正とし)、紙はあくまで参考でとして使った後は廃棄する。これを英語では “Dataset is sole authority.” と言っていました。。

40年くらい前の話で、ある意味で革命的な考えでありました。CADのデータが基準となることで、製造のプランニングが一気に効率化されました。即ち、CADデータを使って組立治具の設計、NC加工データの作成などができるようになった訳です。このように技術基準をコンピュータのデータにすることで、アメリカと日本の間でデータの転送が簡単にできるため、アメリカと日本の時差を利用した開発期間の短縮もできたようです。

要求にはいろいろありましたが、CADデータを基準にしてCAMに展開するため
・CAD/CAMシステムの持つべき要件
・CAD/CAMシステムそのものの変更管理
・上記システムの変更時のCADデータに異常がないことの検証の実施
・データが間違って変更されないためのデータの書き込み防止の保護
・災害でデータが壊れて使えなくなったりしないためのアーカイブを遠隔地で保管
などが要求されていました。

また、この中でアルファーテスト、ベーターテストなどの言葉も初めて知りました。
今、Weblio辞書で検索すると下記の意味とのことです。

アルファーテスト【alpha test/α-test】
アルファ版と呼ばれる製品開発の最も初期段階にあるハードウエアやソフトウエアを、関係者や希望するユーザーにテスト目的で配布し、基本的な動作確認や性能評価をしてもらうこと。

ベーターテスト【beta test/β-test】
発売前のソフトウエアや正式公開前のネットワークサービスを、一部のユーザーに試用してもらうこと。その際の製品をベータ版または評価版という。

この規定の中では、CADを維持する部門の試験をアルファーテスト、ユーザーが試験する意味でベーターテストが使われていたように記憶しています。

具体的な活動としては、システムの専門家、CAMの製造/検査の専門家などで構成された調査チームを作り、2週間米国に渡り、ボーイング社、さらにボーイングコンピュータサービス社(BCS)など訪問し彼らの活動状況を調査して帰国しました。この結果をもとにCAD/CAM 品質保証の事業所レベルの業務標準を作ることができました。作成に当たっては、NCプログラミングのスペシャリストも助けてくれました。

因みにB777では、三次元CADが初めて使われました。今でこそ、CADは、どこででも使われるようになっていますが、一世代(One Generation=30年)以上前にCAD/CAMシステムを使いこなし航空機の開発をしていたということは、驚異に値するものではないでしょうか?

文責 山本

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