Nadcapについて 第1回

Nadcapについて1 認証取得

今回より、国際航空宇宙産業界における特殊工程等の認証制度である「Nadcap*」をテーマに、Nadcap認証の取得を検討或いは、今後認証取得を目指す企業様向けに解説したいと思います。
Nadcapに関しては、既に当社コラム「特殊工程管理について」において(第5回~第10回)で、Nadcapの管理要求や認証取得の準備内容について解説をしていますので、その前段階の内容になります。

1.特殊工程とNadcapについて
航空宇宙業界では、特殊工程は顧客が承認する事項となっています。ボーイング、GE-A、RR、PW等のプライムメーカやMHI、KHI、IHI等のTier 1メーカが、特殊工程について承認をしています。
そして、この特殊工程の認証を、世界的に統一した基準により実施することで全てのサプライヤの品質を維持することを目的とした認証プログラム(顧客に代わり、PRI*が特殊工程等を審査・承認)がNadcapです。

2.Nadcap認証は、顧客要求に基づく
特殊工程の作業を実施している企業様より、Nadcap認証は必要なのか、との質問を耳にすることがあります。1.項に述べたようにNadcap認証は、顧客に代わりPRIが承認するものであり、一般的には顧客の要求がなければ、認証を取得する必要はありません。しかしながら、最近の状況は、従来要求していなかったTier 2やTier 3以降の企業様に対しても、プライムメーカが要求するようになっているようです。

一方、航空宇宙業界への参入を検討しているので事前に認証を取得したい、と考えている企業様(現状では顧客がない)でも、認証を取得することは可能です。この場合は、自社でダミー部品を設定(自社で技術要求を設定し、それに従って作業工程を確立する)することになりますが、事前にPRIへ確認することが必要です。まずは、PRI日本事務所に相談されることをお勧めします。

3.品質システムの確立(認証)が必要
Nadcap審査前の条件として、品質システムの認証が要求されています。
具体的には、AS/EN/JIS Q 9100又はAS/EN9110の認証を取得していることです。この認定においてもIAQG* OASISデータベースにリストされている承認済の認証機関(日本では5社)により付与されたものが条件です。

また、Testing Laboratory(試験室:AC7101)に必要なISO/IEC 17025は、承認されている認証機関から付与されかつ、Nadcap認証のスコープ(化学分析、機械的試験等の区分)に対応してものが必要です。 なお、AC(Audit Criteria)については、別途解説します。

* Nadcap:National Aerospace and Defense Contractors Accreditation Program
* PRI:Performance Review Institute
* IAQG:International Aerospace Quality Group

以降は、次回に引き続きます。

文責 古郡秀一

「続き第2回を読む」

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