JIS Q 9100のルーツは? 第2回
JIS Q 9100のルーツは? 第2回
JIS Q 9100と言えば、品質マネジメントシステム(QMS: Quality Management System)を構築することが必要になると言われますが、品質保証システムに関連する考え方も時代とともに“QC→QA→QM”と移り変わってきました。今回は、それぞれの違いなどを簡単に解説してみたいと思います。
先ず、QC(Quality Control);品質管理 ですが、
筆者が三菱重工の航空機部門に入社した時は、品質管理部というのがあり、そこに配属されました。当時はよくQCは大切だと言われました。そもそも品質管理とは、製造の品質を安定させる(品質のばらつきをなくす)ための活動であり、製造品質に主眼を置いた活動でした。良い『製品』を出荷すること、言い換えれば、当たり外れのない『製品』を出荷することに力点を置いた活動であったものです。
次に、QA(Quality Assurance);品質保証 ですが、
品質保証とは、品質要求事項が満たされているという確信を、顧客に与えることに焦点を合わせた活動のことであります。具体的には、顧客要求を満たすための仕組みを整えることにより、この会社から出荷される製品は良品であるという安心感を顧客に与えることに力点を置いた活動であり、製造品質、設計品質、更に信頼性(故障しにくいこと)などすべてに配慮し、その品質を生み出す『システム(品質保証体制)』を確立するものであるといえます。
1980年の少し前ですが、筆者の所属した三菱重工も航空機のライセンス生産(図面は米国からもらい、生産を国内で実施)から、国内開発の生産にシフトし、開発の品質という意味では、QCからQAにかわった時期でした。部の名称も品質保証部と変更し、機能的にも設計対応の品質、ソフトウエアの品質、信頼性などへの対応力を強化しました。
そして、QM(Quality Management);品質マネジメント ですが、
品質マネジメントとは、品質に関して組織を指揮し、管理するための調整された活動を言い、会社の品質に関するシステム全体を顧客に認知してもらうことにより、信頼感を与えることに焦点を合わせた活動であります。
顧客要求のみならず組織としての総合的な方針事項等とも整合のとれた品質方針及び品質目標のもとに、
Plan→Do→Check→Action(計画→実行→確認→改善)を継続的に行い、品質要求事項を満たす能力を高めていくことに力点を置いた活動であり、『製品』、『システム(品質保証体制)』はもちろんのこと、組織を指揮/管理するという『マネジメント』そのものの対象が拡大されたものであります。このQM(品質マネジメント)を実行していくシステム(からくり)をQMS(品質マネジメントシステム)と言います。
以上が、QC、QA、QM定義ですが、それらの概念の広がりを下図に表します。個々の関連が読み取れるかと思います。
次回は、品質マネジメントの原則について話をさせていただきます。
文責 山本 晴久
「続き(第3回)を読む」
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