特殊工程管理について 第7回 ~特殊工程とNadcap~

特殊工程管理について 第7回 ~特殊工程とNadcap~

メルマガ 第44回 & 第45回 (特殊工程 第5回 & 第6回)では、特殊工程の管理の要求事項などを説明するために、浸透探傷検査を例にしてNadcap要求(AC7114/1)を説明しました。ここで、突然Nadcapの要求が出てきて一体Nadcapとは何かと思われた方もおられたと思います。

航空機部品の特殊工程をご担当されている会社では、Nadcap認証をお取りになっている企業様も多いと思いますが、初めて聞かれる方にもお判りいただけるように、今回は、Nadcapとはどんなものか、その枠組みを少しご説明します。

そもそもNadcapとは、国際航空宇宙産業界の特殊工程等の認証制度であり、航空宇宙・防衛部品製造において、世界的に統一した基準による特殊工程管理を実施することで、全てのサプライヤーの品質を維持することを目的とした認証プログラムであります。
Nadcapは、 National Aerospace and Defense Contractors Accreditation Programの6つの頭文字を取っています。

具体的には、顧客(サブスクライバーといっています)の位置づけにある航空機の機体メーカ、エンジンメーカなどのOEM企業に代わり、PRI(Performance Review Institute)が特殊工程等を審査・認証するものであります。

PRIは、下図で示すようにSAE(米国輸送技術協会)の下にある組織でNadcapの認証機関に相当します。ここで特殊工程に関する要求事項を決定し、その特殊工程を実施するサプライヤーに審査員が出向き、審査を行い、合格すれば認証を与えるというものです。

調達先のグローバル化により顧客(サブスクライバー)の特殊工程の承認に関する負担が増大し、この負担を軽減するためPRIが、顧客に代わって審査・認証を実施します。

下図の左は、従来の各顧客が個別にサプライヤ(Tier 1,2など)の特殊工程承認を行っていたものが、右のようにNadcapが審査、認証することになります。
但し、一般的には各顧客は、Nadcapの認証を受けたサプライヤーに対しても、さらに顧客が直接に特殊工程の承認を要求することが多いようです。

次回も、もう少しNadcapの説明を続けます。

文責 山本 晴久

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