ヒューマンエラーについての考察 第2回

ヒューマンエラーについての考察

ヒューマンエラーについての考察 第2回

そもそもヒューマンエラー(H/E)とは、何でしょうか?
人が引き起こすミスということですが、言い方を変えると人の特性に基づくミスということで、人はミスを起こす特性を持っているということになります。ミスを起こす特性を掘り下げてみますと、次の3つの段階でミスを起こすということが言えます。最近、高齢者の運転事故があちこちで話題になっていますので自動車の運転で考えてみましょう。

まず1つ目は、「認知」のミスです
例えば、信号が赤なのに青と見誤って交差点に突っ込むミス、人が横断歩道を渡っているのに見えてなくて歩行者を妨害するミスがこれに当たります。

2つ目は、「判断」のミスです
右折車が対向車のスピードとの距離感から渡り切れると判断して右折を強引に行い、対向車にぶつかるとか、カーブの曲率とスピードを考えてあまり減速せずにカーブに入り曲がり切れずガードレールにぶつかるなどは、この例です。

3つ目は、「行動」のミスです
典型的なのは、ブレーキとアクセルの踏み間違いです。思っていた通りの行動ができていないという例です。ここで車をバックさせて駐車場の壁にぶつけてしまった場合は、この3つのどれでしょうか? 考えてみましょう。
・後ろを確認せずにバックをすればこの場合は、行動が1つ抜けたいうことで、行動ミスなりますが、
・見たつもりで十分見ていなければ認知ミスですし、
・壁までの距離があると思ってバックすれば、判断ミスになります。

人間特性に基づくミスを3つの特性で考えましたが、車を壁にぶつける例でもお判りの通り、ぶつかったという事象からだけでは、何が悪かったのかが分かりません。そこでこういう場合は、バックして車をぶつけた本人が、何故ぶつけたかを自問自答して原因を考えます。いわゆるなぜなぜ分析をするということになります。壁までの距離感が鈍ってきていて距離が適正に判断できないということであれば(筆者も最近駐車が下手になりました 笑)、車に衝突防止センサーを付けるとか、あたかも上から自車をカメラで映している感覚の画像が見られるインテリジェントアラウンドビューモニターなどが対策になります。
ヒューマンエラーができるだけ起こらないようにするために設備面で対策をとる例です。自宅の駐車場では、暗いために周囲が見にくいなら明かりをつければいいわけで環境を明るくする対策に効果がある場合もあるでしょう。また、原因そのものも、単一のものでなく、例えばガードレールに車をぶつけたケースでも、路面の状態が滑りやすかった、車のタイヤが擦り切れていたなど、複合的な原因がある場合などもあるでしょう。その場合には、原因毎に対策を考えることも必要になります。

ヒューマンエラーは、粘り強く原因の究明と、対策の検討が必要になります。次回はヒューマンエラーの体験をしていただきます。お楽しみに!

 今後も皆様に有益な情報をお届けしたいと考えておりますので、末永くお付き合いいただけたら幸いに存じます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

文責 山本 晴久

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