【第2回】AMS2750Hの概説

~温度センサーは適材適所の選択・使用が必要~

 この規格の3.1項の温度センサーとは、主に熱電対(thermocouple)を意味します。熱電対は2つの異なる金属ワイヤ(導電体)から成り、一方の端で接合され、その接合点を測定部として測定対象物に接触させ、他方の端で2つの金属間で発生した微量電圧差を温度値に変換します。温度センサーには、熱電対以外にRTD(測温抵抗体)として商品化されています。

熱電対は構成する金属組成から、一般的には8種類あり、その組成は右表のとおりです。この中で、タイプE~T(5種)は卑金属から、またR~S(3種)は貴金属からできています。タイプによって、使用できる温度範囲が異なります。

 熱電対は、導電体であるワイヤの高温からの保護のための被膜の方法から、消耗型と非消耗型に分類されます。規格に正確な定義がありますが、一言でいえば、非消耗型はセラミックスや金属製絶縁体等でワイヤが被膜保護されており繰り返し使用が許容されますが、消耗型は被膜が十分でなく、繰り返し使用に制限がかかります。

熱電対の校正の間隔(期間)、校正の標準基準器や校正精度の要求事項は、用途によって異なります。ここでいう熱電対の用途とは、基準標準用、1次標準用、2次標準用、現場試験(後述するSAT、TUS)用、制御・記録用、及びロード(熱処理対象部品または原材料)用の6つの使われ方を意味します。また熱電対のタイプによって、用途に制限があり、基準標準用、1次標準用及び2次標準用として使えるのは組成が貴金属(タイプE~T、5種)のみです。

 熱電対は再校正及び再使用が認められています。但し、その用途(上記の6つの使われ方)、タイプ、形態(消耗型か、非消耗型か)、使用温度によって、再校正及び再使用ができるか否か、また再校正の間隔や再使用の累計時間や回数がきめ細かく決められています。

 熱電対と計器(次回解説予定)との間に、通常は延長コードを使用しますが、使用できる延長コードが使用する熱電対によって使用制限があり、また延長コードと計器とを結合するコネクターにも使用制限があります。使用できる延長コード及びコネクターは、ASTM E230等の規格によって市販品にカラーコード化されており、例えば、Kタイプの熱電対には黄色が対応していますので、黄色の延長コードおよびコネクターを購入して使用することになります。

 繰り返しになりますが、今回の概説のまとめとして使用できる熱電対は、用途(6つの使われ方)、タイプ(E~B、8種類)、形態(消耗型/非消耗型)によって、使用できる温度、再校正や再使用の制限を受けますので、それらをよく考慮した上でどの熱電対を選択するかを決定する必要があります。

次回は、3.2項のInstrumentation(計器)の主要な要求事項について概説します。

文責:小山 隆一

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