【第3回】会社の目的

皆さんは毎日会社に出勤し、仕事をされておりますが、そもそも会社は何のためにあるのか、会社の目的とは何か等、また、それを達成するためにどうすればよいのか、等々について要点を解説します。

日本では、武士社会の影響で金銭に関わる事項は、下賤なこと、卑しむべきこととして扱われてきました。しかし、現代の資本主義社会のもとでは、会社の目的は「利益を出すこと=もうけること」であり、そのために事業を起こし、「人、もの、金」を集めて事業に投資し、汗水を流し、様々の努力をして利益を挙げるために働きます。

ただし利益は、銀行預金以上の利益を上げる必要があります。銀行預金以下の利益では、出資者は出資するより銀行に資金を預けている方がより安全に資金運用できます。

簡単に利益を出すといいますが、利益を出すこと、儲けることは簡単なことではありません。だからこそ不正なく公明正大に稼いだ利益は、胸を張って誇れるものであり、利益を出してこそ、従業員に給与で報いることができ、株主に配当で報いることが出来、税金で社会に還元し貢献出来ます。

では「利益=儲ける」ためには、どうすればよいか。
「もうける」という漢字「儲ける」を見ると、「信」という字と「者」から成り立っています。すなわち「信」のある「者」が儲けることが出来るという意味です。

それでは「信」とはなにか、どうすれば得られるのか、ということですが、「信」とは、「信用」「信頼」ということで「約束を守ること」、すなわちお客様と交わした契約=約束=QCD「Q品質・Cコスト・D納期」を守ることです。

QCDを守る会社は、顧客の満足度が高く、今後さらに注文が増えてくるでしょう。反対に納入された製品に品質不良が多い、価格が高い、納期遅れが頻繁に起こるというような会社には、徐々に注文が減らされ、取引がなくなってきます。

昨今、製品の品質データ等の改竄が発覚して大きな問題になり、国からも厳しい罰則を科されたことは記憶に新しいところであります。製品の開発、製造の段階で、規格を満足しないケースもあるでしょう。こういう場合、
①規格を満足するまで改善努力を続ける、
②規格を満足しているようにデータを改竄する、かのどちらかを選択することになります。

簡単に解決するのであれば、当然①のケースを選択しますが、なかなか解決しない場合に②を選択してしまうこともありがちです。①か②か選択に迷うケースに出会った場合、先ず「信」という言葉を思い起こしてください。胡麻化したり、改竄すればいずれ不正がバレます。その時には大きな損害につながります。

「信」が守られれば、その時は大変でも必ず儲かってきます。10年かかって築き上げた信用も、一時の不正な行為で一瞬になくなってしまいます。

「信」なくば「儲からず」です。肝に銘じて仕事に励んでください。

文責:豊崎 義行