あるQAマンの体験記 第29回 週報とリスク会議
1.週報
どの組織でも週報で自部門の一週間の活動状況を報告すると共に、関連する部門の状況を送られてきた週報で知るいうことはよく行われています。
筆者の場合も毎週金曜日の午後には、主として東南アジアに拠点を置く海外工場と更に本社組織の中の研究開発、製造関連部門などから20件弱の週報が来ることになっており、筆者は本社の品質保証部門にいたので、海外工場からの週報も見ながら、主として品質問題に焦点を当てて週報を書く必要がありました。
当時この会社に来て2~3年が経ち、製品知識もある程度身についてきたとはいえ、複雑な品質問題などは理解しにくいところもあり、必要な時には配下の課長とか品証スタッフなどに確認などしながら、週報をまとめることもありました。ある意味で毎週その時点の状況を報告することで頭の整理もでき、毎週末の1つの仕事としていいリズムになっていました。
実は、この会社では、この週報が金曜日の夕方に配信された後、週報を読んだ人たちのメールが行き交うことになるのでした。取締役の方々からも週報に関する質問や対応策のアドバイスが来ることも珍しくなく、その後も土日とはいえ、次々にメールが飛び交い、回答が必要な場合には、またメールをするというようなそんな状況でした。
そして、明けの月曜日の早朝に実施される本社リスク会議などで土日に行き交ったメールが話題になることもあり、知らないということでは済まされない状況にありました。今にして思えばよく働いていたものです。メールという便利な通信手段が週末の自由な時間を奪ってくれたのでした。(笑い)
2.リスク会議
一方、その本社リスク会議ですが、月曜から金曜までの毎日、始業の30分前にスピンドル事業部門のトップ(副社長、専務、常務)と本社の各部門(技術系と事務系の両方)の長が集まって、前日に各工場で起こった問題などに関する情報交換をしていました。20人以上が会議机を取り囲み、座長の副社長が取り仕切られる会議でした。雰囲気は和やかですが、短時間に真剣な討議をしていました。
この本社リスク会議で感じたことですが、ポイントは、事業部門のトップが、毎日、かつ始業前に行うということで、状況に応じてトップダウンで、その日に処置しないといけないことなどが明確になり、各部門の朝礼などで配下社員に指示することができ、その日のうちに行った処置を翌日のリスク会議に報告するということでスピーディにものごとは進むということでした。
事業部門のトップがリーダーシップを取って、率先垂範で事に当たるというのはこういうことだと今更ながら強く感じました。このような仕事の進め方は、どの大きさの、どのレベルの組織でも全く同じで、筆者も重工メーカの現場の課長時代に毎週月曜日の始業前に5~6名の作業長を集めてモーニングミーティングを開催していたことを思い出しました。情報の伝達(トップダウン)が確実に行われること、困っていることを作業長から直接課長に上申(ボトムアップ)できることなどで好評でした。
今回紹介した週報は、メールベースでFace to Face(FTF)でない情報伝達(基本一方的)で、本社リスク会議は、FTFの情報交換(基本双方的)がベースになっています。いずれの形態であれコミュニケーションが重要だと感じています。
JISQ9100でも、リーダーシップ、人々の積極的参加、機会とリスク、運用リスクなどと言われますが、強いリーダーシップの下で、日常的に多くのメンバーが議論するというのは、理想の姿ではないでしょうか?
文責 山本 晴久
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