JIS Q 9100の分かり易い解説について(第3回-2)
前回は、製品安全関わる規格の要求事項に基づき、設計部門が設計・開発時に考慮すべき事項について記載しました。
今回は、規格の要求事項としては特に明確にはされていませんが、設計以外の部門(購買、製造、検査等)が製品安全として考慮すべき事項についてお話しさせていただきます。
図面・スペック等がいくら適切であったとしても、その要求通りに製造されていなかったら、飛行機の航行に影響するような不適合が発生し場合、大事故につながる恐れがあります。これを防止するには、不適合製品を製造しない、また顧客に納入しない仕組みづくりが重要になります。
特に不正による不適合製品の納入を防止する活動を強化するために、皆様ご存知かと思いますが、SJAC9068B「品質マネジメントシステムー航空・宇宙及び防衛分野に対する要求事項―強固なQMS構築のためのJIS Q 9100補足事項」が昨年の3月に発行されました。
その要求事項の一つとして、見積り時に運用リスクを明確化することが要求されています。運用リスクに対する軽減策(対策)に対する費用を当然見積もっておくことは、言うまでもないかと考えます。
例えば、見積り時に顧客からの図面寸法で±0.005の公差が要求されていたにも拘わらず、見誤って±0.05として見積り、受注し、受注後見誤っていたことが発覚した場合を想定してみましょう。
図面が要求する±0.005の高精度な製品を加工する場合、多くの企業様は加工設備及び検査設備等の新規導入・改修等が必要となります。ところが、このような費用が見積りに反映していなかったため、現有の設備・人員で加工した結果、要求精度から外れた製品が製造されることになります。そして、止むを得ず検査成績書等を改ざんして、顧客に不適合品を納入せざるを得なくなり不正の一因となります。
更に不正を防止するには、組織の従事者が箇条7.3 認識で製品安全に対する認識を高揚することが要求されています。そのためには、経営者・管理者も含めた定期的な社内教育・訓練、情報交換等を行い、コミュニケーションをよくし、不正は絶対に行わないと企業様の風土作りが重要です。
その他、内部監査の強化、改ざん・ねつ造の防止として生データの厳格な管理・購買先に対する不正防止要求の強化等が要求されています。 次回は、箇条8.1.4 模倣品の防止について、極力、具体的な事例を含めて解説したいと考えます。
文責 松田一二三
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