JIS Q 9100の分かり易い解説について(第1回-2)

JIS Q 9100の分かり易い解説について(第1回-2)

前回のメルマガでは、箇条8.1.1 運用リスクマネジメントの目的及び分かり易い事例等について説明させていただきました。

今回は、運用リスクマネジメントに関連する用語として“箇条3.5特別要求事項”について解説します。

セミナー等で、受講者の方に「顧客からの特別要求事項とはどのような要求事項でしょうか」と質問すると、殆どの方が「顧客からの特別な固有の要求事項です」と答えられます。

規格の定義としては、”箇条3.5 特別要求事項とは、企業様にとっても莫大なリスクのある要求事項で運用リスクマネジメントの対象としなければならない要求事項・・・“です。即ち、必ずリスクの軽減策対策が必要な要求事項です。

特別要求事項の例には、次に示す2種類あります。

  • 産業界の能力の限界にあるような性能要求事項
    例えば製品に対する図面要求公差が10φ±0.1μであった場合、どこの企業様にとっても加工及び検査するにあたっては、莫大なリスクがある産業界の能力の限界にあるような要求事項です。
  • 企業様の自らの技術若しくは能力プロセス能力の限界にあるような要求事項
    例えば材質がCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の製品については、全くCFRPの加工実績のない企業様にとっては、ダイヤモンド工具による切削、作業者のじん肺対策、加工設備の防塵対策等が必要になります。ところが、既にCFRPを加工した実績のある企業様にとっては対策済みであり、特に大きなリスクはありません。企業様によって、リスクの度合いが大きく異なる要求事項です。

このような特別要求事項を図面の確認ミス等により見逃し、その対策費用を見積りに反映しないで顧客に提出し受注した場合、後々大変な問題となります。そのために、“箇条8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化のc)”として、見積り時において特別要求事項の有無の確認が要求されております。

 次に重要な要求事項としては、“8.1.1 運用リスクマネジメントのe)軽減処置を実施した後の残留リスクの受容“があります。これは、軽減策が必要と判断されたリスクについては、計画的に対策を確実に実施することが要求されています。ともすれば、日常業務が優先され、リスク軽減策は後回しにされ勝ちなので、軽減策の検討・実施状況等について定期的なフォロー会議等を実施して確認することが重要です。

 運用リスクマネジメントの目的、活動のポイント等について理解していただけましたでしょうか。 次回は、良く理解し辛いといわれる“8.1.2  形態管理”について解説いたします。 

文責 松田一二三

当社では、JISQ9100の規格解説セミナーを、長年航空宇宙産業で品質保証に携わった講師が実例等含めながら解説致します。
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