あるQAマンの体験記 第4回 モーニングミーティングで部品生産スケジュールのフォロー

部品生産スケジュールのフォロー

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さて今回は、ロケットエンジン部品生産で緊急スケジュール達成のために活動した経験談です。

製造メーカにおいては、生産スケジュールのキープは、一つの課題であり、そのためにスケジュール管理部門があり、生産マスタースケジュールを明確にし、そのスケジュールに従って細部の部品ごとのスケジュールなどが作られてフォローされるようになっています。筆者がいた工場でも同じで細部のスケジュールは、製造部門に工程推進担当者がいて現場での部品の受け渡しなどするようになっていました。生産スケジュールのキープで特に難しいのは、開発もののスケジュールキープでした。理由の一つに、開発ものでは、設計したものが、開発試験などを通じて設計変更などが頻発し、生産スケジュールの乱れが生じるというものです。そこでスケジュール管理の秘策として筆者のいた工場でモーニングミーティングが開催されました。

部品の開発が佳境に入った時に、定期的なフォローでは部品製作が間に合わなくて、関係部門を集めてスケジュールキープのためフォローミーティングを毎日開くようになりました。朝一番に開くということでモーニングミーティングと名付けられました。メンバーは、現場でスケジュール管理をしているリーダが主催し、設計部門、生産管理部門、生産技術部門、製造部門(現場)、検査部門、必要な時は資材部門から代表メンバー(実際は、担当者)を招集し、現場の一角にある会議机を囲み、立ったままの姿勢で昨日の処置事項の報告、その日の処置事項の指示、処置の緊急度、処置担当など20~30分程度打ち合わせて分かれていくというやり方でした。筆者は、入社2~3年目で部品加工の検査係のスタッフ(検査計画など行う技術職)を担当しており、課を代表してミーティングに出席していました。そこでの検査担当者(筆者)の任務は、受入検査で滞留している部品の払い出しの促進、不適合で止まっている部品の判定促進、検査待ちになっている検査の促進などの他、新しい計測器の校正のフォロー、検査に関係するものであれば、課を代表している自分が、他の係の職場まで責任をもって対応することとなりました。本来スケジュール管理は整斉と行うべきものではありますが、開発製品でありそのようにいくはずはなく、泥臭く動き回って何とかスケジュールに間に合わす毎日でした。部品が揃って初めてロケットエンジンが組み立てられ、遠隔の試験場でその時々の目的に応じた燃焼試験が行われるというサイクルを何度か回し、開発が完了して初めてロケットとして打ち上げられました。

今にして思うと、現場的で泥臭いモーニングミーティングでしたが、ここで得られた成果は、モーニングミーティングに毎日出席することで、自分の仕事を取り巻く設計、生産管理、生技、製造などの動きが手に取るように分かったこと、また、検査部門のあらゆる係の現場と直接やり取りすることで顔が広くなったことなどであり、更にここで得られた教訓は、製造現場はいつも突発的なことが起こり、その都度その場で考えられる最善の策を自分一人でなく現場の関係者と知恵を出し、とにかく動いてみるということであったと思います。

知識と経験から思考し、対策を実行に移し、うまくいかなければ次の手を打つことの大切さを学びました。知識-判断-行動の連鎖(「知識がないと考えられない」→「考えても行動に移さなければ意味がない」→「よって、行動せよ」というもの)とか、PDCAを回すとかよく言われますが、まさにモーニングミーティングのメンバーとして対応していた時は、入社2~3年ではありましたが、これらを実践の場を通じて学んでいたのだと思います。

ある意味で臨場感のある、しかもロケット打ち上げという任務の一部に携わることができたことに大きな満足を得ることができました。

日本のロケットはHⅠからHⅡへと続き、H-IIAロケットは42回中41回の打ち上げ成功、H-IIBロケットは全9回の打ち上げすべてに成功というように、成功率は世界最高峰を誇っています。嬉しい限りです。

文責 山本 晴久

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