【#1】不適合が発生したら

お客様から、「納入してもらった製品が動かない」「破損して飛んできた部品で作業者が怪我をした」と一報をうけたら、驚き、慌てて頭が真っ白になり、どうしたらいいかよく判らなくなると思いますよね。

でも、お客様は事故や不適合への対応で自分たちよりもっと大変な思いをしておられます。
・けがをした従業員が心配だ。
・工場の生産が止まって顧客に迷惑をかける。いつ再開できるのだろう。
・損害はどれくらい広がるのだろうか。再発しないのだろうか。
・報道やSNSなどで風評被害を受けるのではないか。

お客様は、不適合に際して慌てられ、損害が出ることに対してメーカーを責めるような言葉もあるでしょう。
然しながら、お客様は製品に関してはメーカーを信用して使っておられます。何かあったら頼るのはメーカーです。どうすればよいかを聞きたいと持っておられます。

納めた責任がありますので、お客様と一緒になって対応していく必要があります。
どのように対応するかについて話します。

不適合の連絡を受けた人は落ち着いて、状況を把握し事態を収拾する方向で対応しましょう。

(1)一報を受けた段階では、どんな事象なのかを把握し、2次災害を避けるための助言をするのが良いと思います。
  (a)危険を避けるような活動をしてもらいましょう。
    不適合事象に対してどのように処置するか、検討しておくと慌てません。
    ・非常停止ボタンを押す。電源を切る。緊急時の連絡先に通報する。
     できれば、電源を切る前の警告表示やランプ状態の写真を撮っていただくとよいと思います。
     (電源を切ることで、リセットされる項目もある)
    ・高速回転をしている部品から離れる(停止後に近づく)。
    ・高圧力となっている部品から離れ、安全に圧力を開放する方法を教える、等。
    ・お客様の工場では、緊急時の対応について設定されていると思いますので、それに基づき対応して
     いただくようにします。救急車を手配する。工場の管理部門や、上司などへの連絡を行う。
     火災が発生していたら、初期消火できるかどうかを判断し、消火器などで対応する。

  (b)状況から、危険がない(2次被害を起こさない)と判断してから、詳細を聞きます。
    ・できるだけ早く、会社から調査に出向くことを申し出る。
     それまではできるだけ、現状を保存してもらう。できれば写真撮影をお願いする。
    ・不適合が発生した時の状況について教えてもらう。
     設備、製品の状況(起動/停止時か運転中か)
     警告信号、ランプの状況
     異音や異臭、ハンドルが重いとか移動速度が遅いなど、いつもと違うと気付くことはなかったか。

  (c)発生した不適合事象に関連した情報も聞きます。
    ・影響の大きさ(当社が納入した製品以外への被害の波及、復旧までの緊急性
    ・同様な事象が以前に発生していなかったか。

発生原因を突き止めなければ、十分な対応策も検討できません。
次回は原因調査の手順について説明します。

文責:大橋 義仁