【#2】航空機への複合材適用について:航空機への複合材料適用の変遷

3.航空機への複合材料適用の変遷
航空機誕生直後の1910年頃には木&布&ワイヤなどが主な構造材でしたが、1930年代初期からはアルミニウム合金が使用され始め、直近まで航空機材料の主流を占めてきました。図-9に航空機構造に必要な材料特性を示す通り、航空機の部位毎に材料特性に対する要求は千差万別となっています。
図-10には時代が進むに従って各種の新しい材料開発が行われてきた経緯を示しますが、1980年代からは、新しい繊維の開発に触発されてプラスチックを基材とした比強度、比剛性の高い先進複合材料(Advanced Composite)の試作研究が盛んになる流れの中で、優れた比強度を持つ炭素繊維が出現し、これを強化材とするCFRPが誕生すると、これを航空機材料への適用する動きが徐々に拡大を続け、最近では一挙に加速している事が判ります。

この先進複合材(殆どCFRP)の航空機体構造に占める重量割合の変遷をプロットしたのが図-11です。CFRPは最初に軍用機に適用され、大幅な複合材適用は常に軍用機がリードしてきましたが、21世紀に入ってボーイング787で民間機での先進複合材の使用比率が急増した事が判ります。ボーイング社の主要民間旅客機での機体構造の使用材料比率の推移を比較したのが図-12ですが、この図を見ても787で一気に複合材適用比率が増加した事が判ると思います。

文責:丹羽 高興