#5 飛行機の安全性を確保する方法についての豆知識シリーズ

(3)事業場認定制度

型式証明のための国(航空局)の検査を実施するには、国(航空局)は多大なコスト・スケジュールを準備しなくてはなりません。
 そこで、国(航空局)が、設計・製造・運航する企業(民間の事業場)の業務の能力をうまく活用して、国(航空局)が実施する審査・検査の一部又は全部を委任する制度を“事業場認定制度”と言っています。 

航空法では、企業(民間の事業場)の業務の能力を7つに分類しています。
①航空機の設計及び設計後の検査の能力
②航空機の製造及び完成後の検査の能力
③航空機の整備及び整備後の検査の能力 等々

     企業(民間の事業場)が「我社は、○○機と○△機を設計・開発した経験があり、それらを担当した技術者はほぼ全員在籍しており、新しい航空機を設計する能力には自信ありますし、スケジュールがタイトですので、国(航空局)の審査・検査を任せて下さい。」と国(航空局)に申出れば任せてもらえるのでしょうか。すぐに「イエス」が出れば、ハッピーなんですが、そうはいきません。

    では、企業(民間の事業場)は、どのようにして業務の能力を示して、国(航空局)が実施する審査・検査の一部又は全部を任せてもらえるのでしょうか。

    ①の「航空機の設計及び設計後の検査の能力」を例にしてもう少し調べてみましょう。
     企業(民間の事業場)が次に示す事項を満していると判断するとき、国は「能力がある」と認定します。
      ・業務に必要な施設(設備、事務所、作業場、装備品等の保管施設など)を保有していること。
      ・業務を実施する組織が業務を適切に分担しており、それぞれの権限・責任が明確になっていること。
      ・業務を適確に実施することができる能力を有する人員が適切に配置されていること。
      ・国(航空局)の審査官・検査官に代わって審査・検査を行うことができる、所要の要件を満たす企業
       (民間の事業場)の要員がいること。
      ・業務の適確な実施のための品質管理制度が設定されていること。等

    国によって「能力がある」と判断された企業(民間の事業場)のことを、航空法上では“認定事業場”と言っています。認定の有効期間は2年となっています。
     認定事業場となったからすぐに国の審査・検査ができるかというとそうはいきません。
     “業務規程”と称する文書化されたものが、必要になります。“業務規程”については次回に説明します。                    

    文責:田中 僅二