#4 飛行機の安全性を確保する方法についての豆知識シリーズ

(2)型式証明制度

前回のマガジンで調べたように、航空機の安全を確保していることを証明する(耐空証明)ためには、航空機1機1機について①設計の検査と②製造過程の検査と③現状の検査を行わなければならず、同じ設計・同じ製造方法の航空機を数多く生産するには、あまりにも多くの労力と時間を要して、あまりにも非現実的であり、無駄でもあることがわかりました。

そこで、予め開発段階で、設計の検査や製造過程の検査を行っておくことで、 耐空証明の検査では、重複する部分の検査を省略できるようにする制度が“型式証明制度”という制度です。

このように型式証明は、耐空証明の検査の一部又は全部を省略するためのものであることから、型式証明における「安全基準」・「環境適合性基準」は、耐空証明における基準と同じものが用いられます。

型式証明の検査は、耐空証明の検査と同様に、①設計の検査と②製造過程の検査と③現状の検査が行われます。
ただし、③の現状の検査は、型式証明のときと、耐空証明のときで役割が異なります。
 ・型式証明のときは、
   意図した設計や製造方法で、安全性が確保される航空機ができあがるかの検査

 ・耐空証明のときは、
   1機1機の航空機が安全性を確保しているかの検査

型式証明の検査で「安全基準」・「環境適合性基準」に適合していることが確認されれば、その航空機に“型式”が与えられます。
“型式”を与えられた航空機は、耐空証明の検査と重複する部分の検査を省略できるようになり、国(航空局)の審査官・検査官の労力と時間は、かなり軽減されるようになります。

 しかし、航空機を設計・製造する企業は、その航空機の販売する時期(事業化)を設定して、タイトなスケジュールの下で早く“型式”を得ようとして、数百いやそれ以上の項目について、国(航空局)の検査をしてもらおうと必死になりますが、国(航空局)の体制・スケジュール・検査官数などに制約があります。

 そこで考え出された制度が、国(航空局)が実施する検査を、設計・製造・運航する企業(民間の事業場)が実施できるようにする“事業場認定制度”という制度です。  次回は、この“事業場認定制度”を少し深掘りしてみましょう。                      

文責:田中 僅二