【#3】宇宙機(ロケット)における“設計の品質”

宇宙機へのプログラム要求は、米軍/NASAが第2次世界大戦~アポロ計画でMIL規格に体系化された“3管プログラム”(信頼性管理、コンフィギュレーション管理、開発保証(PA:開発段階の品質保証))に、有人宇宙システム(宇宙ステーション)でシステム安全を加えて確立された“S&MA(安全・ミッション保証)”要求が有名です。なお、大規模システムでは、開発保証に“ソフトウェアの開発管理・品質保証”が含まれます。

今回は、9100(品質マネジメントシステム要求)の“運用の計画と管理 “(8.1箇条)、および”設計・開発の計画 “(8.3箇条)における宇宙機の留意点を説明します。

(留意点)                           JAXA標準等 (9100)
・プロジェクト・マネジメント/システム・エンジニアリング ←信頼性管理、開発保証
・設計仕様の文書化:設計ベースライン                        ←信頼性管理、コンフィギュレーション管理
・解析、検証、認定:試作・開発試験・認定試験       ←信頼性管理、開発保証
・変更管理                         ←コンフィギュレーション管理、開発保証
・マイルストーン審査(設計審査):特に、PQR       ←信頼性管理
・システム安全活動                    ←システム安全、(8.1.3箇条:製品安全)

ロケット開発から実機(試験機)打上げまでのスケジュールのイメージは以下になります。

なお、9100で要求されている“製品安全” (8.1.3箇条)は、ライフサイクルにわたる安全活動を定義している“システム安全”と、目的と実施事項は基本的に異なることはなく、航空機の構成品にかかわるサプライヤへの要求であることを強調するために“製品安全”という用語を用いたものと思われます。
 また、航空機で一般的な“形態管理” (8.1.2箇条)は、宇宙機では“コンフィギュレーション管理”を用います。 

以上のように、宇宙機開発は、大規模システムの開発の観点では航空機開発と類似であると思われます。9100は、当初は民間航空機のサプライヤ要求として確立された要求ですが、IAQGは2000年以降2016年版改訂に向けて、宇宙業界への適用拡大にはNASA/ESA/JAXAの合意が必要と考え、ワーキングループ(スペースフォーラム)を立上げ、宇宙業界関係機関・メーカからのコメント(特に、開発段階の活動の追加)を反映してきたという経緯があります。

「H-IIAロケット打上げ輸送サービス」事業は、まさにこの過渡期に実機運用に移行したのでした。
次回は、“製品の品質”について紹介します。

注:
JMR-001:システム安全標準
JMR-004:信頼性プログラム標準
JMR-005:品質保証プログラム標準
JMR-006:コンフィギュレーション管理標準
JMR-013:品質保証プログラム標準(基本要求JIS-Q-9100)
JERG-0-049:ソフトウェア開発標準
S&MA :安全・ミッション保証
PA:Product Assurance 
IAQG:International Aerospace Quality Group


以上
文責:大脇 聡