昨年の重大ニュースから(その3)
前回まで、昨年の重大ニュースの中から自動車メーカーの品質不正、芸能事務所元経営者による性加害事件といった暗いニュースを取り上げましたが、今回は明るいニュース「侍ジャパン ワールドベースボールクラシックで優勝!」を取り上げます。読売新聞社の「読者が選んだ日本10大ニュース」でも1位に選ばれたニュースです。
侍ジャパンの戦いを振り返ってみますと、東京ドームでの第1ラウンドでは中国に8対1、韓国に13対4、チェコに10対2、オーストラリアに7対1で勝利し、決勝トーナメント進出を決めました。東京ドームでの準々決勝は9対3でイタリアに快勝、舞台は米国フロリダ州のローンデポ・パークに移ります。
メキシコとの準決勝、侍ジャパンは4対5でリードされて迎えた9回裏、これまで不振だった村上選手の2塁打で走者二人が還り、6対5で逆転サヨナラ勝利となりました。
アメリカとの決勝戦、3対1とリードして迎えた8回表のアメリカの攻撃、この回からマウンドに上がったダルビッシュ投手はソロホームランを浴びますが、この1点に抑えて9回表には大谷翔平投手が登板。2アウト後、アメリカの強打者トラウト選手から空振り三振を奪って、3対2でゲームセット、3大会ぶり3度目の優勝を果たしました。
この侍ジャパンを率いた栗山氏は、2021年12月に監督に就任。当時の記者会見では「勝ちきることで選手たちの素晴らしさや日本野球の凄さを伝えられるよう全力を尽くしていきます」と世界一奪還への思いを語っていました。
悩みに悩んだ末の選手選考だったでしょうが、結果からみればベストな布陣だったと思います。前回侍ジャパンが優勝した2009年大会のメンバーだったダルビッシュ投手は、2月中旬に始まった宮崎合宿から参加して積極的に若い選手たちと交流し、一体感のあるチーム作りに貢献しました。栗山監督の日本ハム時代の教え子だった大谷翔平選手も、決勝戦前の円陣で(相手には憧れのメジャーリーガーが揃っているが)「憧れるのをやめましょう」とチームを鼓舞、自らも好打好投の二刀流でチームを優勝に導きました。
十大ニュースでは選外となりましたが、昨年秋にフランスでラグビーワールドカップが開催されました。前回の2019年大会では開催国の日本は予選リーグ全勝で初めて決勝トーナメントに進出しましたが、昨年の大会では、残念ながら予選敗退となりました。
大会は南アフリカの連覇で幕を閉じましたが、その南アフリカは準々決勝でフランスを29対28、準決勝でイングランドを16対15、決勝ではニュージーランドを12対11で破るという、いずれも1点差の接戦を制しての優勝となりました。どの試合でも、南アフリカは試合終盤に幾度も自陣ゴール前に攻め込まれました。相手の攻撃を何としても防御しなければなりませんが、オフサイドなど反則を犯せば、相手にペナルティキックが与えられ、ゴールが決まれば即逆転されてしまいます。厳しい状況においても規律を守り反則を犯さずに勝ち取った見事な優勝でした。
前々回に自動車メーカーの品質不正のニュースを取り上げましたが、どんなに苦しい状況に追い込まれても「規律を守る」「不正をしない」という点はビジネスの世界でも重要なことであり、それを乗り越えて事業の成功があると思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
2月も下旬となり春の訪れを感じる季節となりました。読者の皆様方におかれましては「明るいニュース満載」の2024年になりますことを心より祈念いたします。
文責 有田 智充